著者
北尾 悟 籾谷 奈保子 安藤 真美
出版者
日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.48, 2008 (Released:2008-08-29)

【目的】 近年、様々な食品や食品素材の抗酸化能が評価されている。食品に調理操作を施し料理になる過程において抗酸化能は変化すると思われるが、その詳細を検討した事例は比較的少ない。また、砂糖は一般調理で最も使用頻度の高い甘味料であるが、調理過程における抗酸化能への関与については明らかにされていない。そこで、砂糖を用いた料理としてりんごのシロップ煮を取り上げ、その調理過程の抗酸化能の変化を調べた。さらにそこで得られた知見から、スクロースによるアスコルビン酸の抗酸化能保護効果についても検討した。 【方法】 りんごのシロップ煮の各調理過程における抗酸化能の変化を、AAPHペルオキシルラジカルのルミノール化学発光に基づくAAPH-CL法にて測定した。さらにモデル系として、アスコルビン酸添加の有無、スクロース濃度(0、30、60%)、加熱時間(0分、10分、20分)の組み合わせを変化させ抗酸化能を測定した。 【結果】 りんごのシロップ煮の各調理過程において、シロップとりんごそれぞれの抗酸化能の和と比較して、りんごのシロップ煮の抗酸化能は約3倍となった。一方、モデル系の場合、アスコルビン酸単独溶液は、加熱とともに顕著に抗酸化の減少が見られたが、同濃度のアスコルビン酸にスクロースが共存すると、抗酸化能の減少が有意に抑制された。スクロース自身も弱いながら加熱により抗酸化能は上昇するが、このスクロースによる抗酸化能の減少抑制効果は、相乗的かつ濃度依存的であった。以上の結果、スクロースは加熱により影響を受けやすい抗酸化成分に対してその保護効果を有することが示唆された。
著者
明神 千穂 安藤 真美 伊藤 知子 大塚 憲一 久保 加織 露口 小百合 中平 真由巳 原 知子 水野 千恵 村上 恵 和田 珠子
出版者
日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.80, 2011 (Released:2011-08-30)

【目的】中学校、高等学校の家庭科担当教員に調理実習の現状について実態調査を著者らが行ったところ、揚げ調理を実施している中学校、高等学校はともに20%で、授業時間数の減少や補助者の問題などが関係し減少傾向にあることが分かった1)。そこで、油の処理も含めた揚げ調理の一連の操作を学ぶことができる教材の開発が必要であると考えた。本研究では、まず天ぷらを取り上げ、生活体験レベルが異なる生徒にも対応可能な教育媒体としてリーフレットを作成した。多くの教育現場で活用してもらうため、このリーフレットを高校家庭科担当教員へ送付し、揚げ調理の実施状況およびリーフレットの評価についてアンケート調査を行った。 【方法】<リーフレット> 天ぷらの作り方について、油の種類・必要な調理器具・食材の準備・衣の作り方・油の温度管理・揚げ操作・油の処理方法までをカラーのイラストと写真を用いて説明した。<アンケート調査> 2010年8月に近畿二府四県の高等学校家庭科教員を対象とした郵送法による質問紙調査を行った。有効回答数は110部、回収率42.3%であった。 【結果】揚げ調理の実施状況では「天ぷらを作ったことがある」は15%であった。リーフレットに関しては「内容、説明、写真、デザイン」は高い評価を得られた。また、「補助教材として使いやすい」、「高校生の天ぷらについての理解が深まる」、「授業の資料として活用したい」と答えたのがそれぞれ76%、88%、78%となり高い評価が得られた。リーフレットへの評価は高いが、学生への配布希望は34%だった。今後は実際に授業で用いた際の生徒からの評価も検討を予定している。 1)日調科誌, 41, 196 (2008)
著者
原 知子 安藤 真美 伊藤 知子 井上 吉世 大塚 憲一 大野 佳美 岡村 由美 白砂 尋士 高村 仁知 武智 多与理 露口 小百合 中原 満子 中平 真由巳 西池 珠子 林 淑美 深見 良子 藤村 浩嗣 松井 正枝 的場 輝佳 水野 千恵 村上 恵 山下 貴稔 湯川 夏子 渡辺 健市
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.23-27, 2004-01-15 (Released:2009-02-19)
参考文献数
20
被引用文献数
3 1

酸価1∼4.5の段階的に劣化度が異なる劣化油1,2,3を用いて,揚げ玉,まいたけの天ぷら,コロッケを調製し,揚げ物および揚げ油の官能評価による風味とPCテスターによる極性化合物量の関係について検討した.1.新鮮油,劣化油1,2,3の4種の劣化程度の異なる油及びそれらで調製された製品の風味に有意差が認められた.これら4種の油は酸価,粘度,極性化合物量が段階的に異なるもので,揚げ玉,まいたけの天ぷら,油自体の風味の評価結果は,これらの要素と対応した.新鮮油,劣化油1,2,3の順に風味評価は低下したが,劣化油1から極性化合物量15%の劣化油2の間で低下が顕著であった.また,劣化が進行した油において官能評価ではその違いが認め難くなる傾向にあった.コロッケでは油の劣化による風味評価の低下は小さかった.2.揚げ玉やまいたけの天ぷらでは極性化合物15%程度まで,コロッケでは,25%程度まで風味評価のよい揚げ物を調製できた.3.極性化合物量15%以上で風味評価が低下するとともに風味の劣化度合いを弁別し難くなる傾向があったことから,栄養的にも嗜好的にも,揚げ油の極性化合物量を15%以下で管理するのが適当であると考えられた.
著者
神田 知子 安藤 真美 五島 淑子 櫻井 菜穂子 花井 玲子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.390-400, 2004
参考文献数
20
被引用文献数
2

山口県の豆類といも類を用いた料理に関するアンケート調査および聞き取り調査を行い,山間部(阿東町)と海岸部(山陽町)における地域性を検討したところ,以下の知見が得られた. 1)阿東町は豆類やいも類の自家栽培が多く,平均6.4種類の作物を栽培していた. またきな粉,豆腐,こんにゃくなどの食品を手づくりしている世帯も多かった. 一方,山陽町では,平均2.8種類の作物が栽培されていた. 2)阿東町では,自家栽培の多い食材を用いた料理が多く,工夫して食されていることが明らかとなった. 一方,山陽町では出現した料理の種類が多く,とくにじゃがいもと木綿豆腐の料理が多かった. 3)行事に関連する料理は阿東町の方が多く,葬式の料理を地域で作るという風習も残されていた. 4)豆類を用いた郷土料理である「けんちょう」と「いとこ煮」について検討した結果,材料や作り方に両地域で違いが見られた. 本研究を行うにあたり,アンケート調査にご協力いただきました阿東町消費者連絡協議会と山陽消費者の会の皆様に深謝いたします. なお本研究は日本調理科学会特別研究「調理文化の地域性と調理科学」の一環として行った. また平成13年度日本調理科学会大会において発表した.
著者
安藤 真美
出版者
大阪樟蔭女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

数種の果実類について氷温貯蔵を実施し,その品質の貯蔵中の変化について検討した。その結果,特定の果実において官能評価の向上,特に甘味の改善効果が認められた。一般的な糖類においては量的な変化が認められないことから,甘味を強調するための相乗効果を有する物質の増加が推察された。
著者
的場 輝佳 北尾 悟 安藤 真美 高村 仁知
出版者
関西福祉科学大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

環境に優しい食生活を実現するため、機能性および嗜好性を維持できる、正しい「エコロジー調理」を提言することを目的として研究を遂行した。水系において、加熱調理が機能性および嗜好性に与える影響について検討するため、物性を同じ状態にした調理品を試作し、調理法の違いによるCO2排出量を算出するとともに、調理操作の違いによる機能性の差異を解析した。電子レンジを用いた場合、ガスコンロを用いた場合よりもCO2排出量が少なくなる傾向が見られ、さらに蒸らし操作を加えるとより効果的であることが認められた。調味料を加えた調理では、食塩や醤油を加えた調理で、電子レンジの使用がCO2排出量を増大させる傾向にあった。