著者
谷口 幸治 土井 尚 柴田 寛一 堀田 一 川口 誓爾
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.74-77, 1972-01-20 (Released:2011-10-19)
参考文献数
23

口腔, 顔面にみられる裂奇形のうち, 口唇, 口蓋裂に遭遇する機会は多いが, これらに比較すると横顔裂は稀れであるとされている. 本邦においては田口, 園山ら, 川上, 吉岡ら, 三輪ら, 山口ら, 宇賀ら, 塩谷, 巨山ら, 佐藤ら, 河合らの報告をみる.この裂は第1鰓弓より分化してきた上顎突起と下顎突起の間の凹みが, 頬軟組織形成のさいに癒合不全として残つた状態である. したがつて裂は, 口角から横に伸びて咬筋の前縁で止まるものが多いが, 程度が進むと咬筋に達するもの, さらには耳珠付近に達するものまである. (田口, 塩谷.)外観はどのばあいにも口裂が大きく, 開口時には大臼歯部が直接見えるようになる.われわれは21才の女性と生後3カ月の女児の2例に形成手術をする機会をえたので,その概要を報告する.