著者
大澤 朋子 栗本 康司 土居 修一
出版者
公益社団法人 日本木材保存協会
雑誌
木材保存 (ISSN:02879255)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.44-59, 2023 (Released:2023-06-01)
参考文献数
27

わが国の木造住宅の床下環境は構法の変遷とともに変化しており,現在は床下土壌現しよりも床下防湿コンクリート打ちが主流で,寒冷地を中心に床下換気孔を持たない基礎断熱工法も広まってきている。そこで本研究では,居住者のある住宅を対象に,至近に建つ4棟の木造住宅の床下温湿度を1年間実測する調査,新しい基礎仕様である基礎断熱の木造住宅1棟の床下等の温湿度および木材含水率を17年間の長期にわたり実測する調査の2つを行い,異なる基礎仕様が土台等の床下木材に与える影響を検討した。その結果,基礎断熱の住宅の床下環境はいずれも年間を通して相対湿度40~80%の低湿に保たれており,床下木材が高含水率となる危険性はなかった。一方,床下換気孔を持つ在来型の基礎の場合は夏季に相対湿度が80%を超える高湿度期間が確認され,床下木材が高含水率となる懸念があった。さらに床下防湿コンクリート打ちの住宅は床下土壌現しの住宅よりも高湿度の影響が大きく,これは床下が低温となることに起因することが分かった。
著者
土居 修一
出版者
公益社団法人 日本木材保存協会
雑誌
木材保存 (ISSN:02879255)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.172-179, 2013 (Released:2013-09-04)
参考文献数
8
被引用文献数
3 1
著者
山内 秀文 OLRANDO R. Pulido 馬 靈飛 佐々木 光 桜庭 弘視 楊 萍 MA Ling. Fei. PULIDO O. R. 木村 有一 土居 修一 田村 靖夫 徐 へん 馬 霊飛 菊地 與志也
出版者
秋田県立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

スギ丸太の歩留まり向上と廃棄物低減を目指し、スギ樹皮を有効利用する方法として厚物成形ボードに転換する方法を検討した。さらに、このボードの持つ断熱性、成型性、耐久性、厚物化による載荷性などの性能を生かし、付加価値の高い利用法として床暖房基材とすることを考案し、これの基礎技術を確立する実験を行った。検討結果を以下のような四章にまとめた。1)スギ樹皮ボードの諸性質:スギ樹皮ボードの基礎的な性質を明らかにするために、小試験体により力学的性質、寸法安定性、断熱性、VOC吸着性及び遮音性能を測定した。樹皮ボードは力学的性能がやや劣るものの、優れた断熱性、VOC吸着性などを持つことが明らかになった。2)床暖房基材成型用金型の設計・試作及び実験用ボードの製造:既存の蒸気噴射プレス定盤に取り付けて用いる成形金型の設計を行った。金型の成形パターンは汎用性と施工性を考え正方格子状とした。この金型を用い、イソシアネート樹脂接着剤を用いて厚さ45mm、比重0.40の実験用ボードを1枚当たり4.5分で製造できた。3)床暖房モデルを用いた配管及び床構成の検討:先に試験製造したボードを用い、約1×2mの床暖房モデルを作製し、熱源を接続して配管パターン、配管直径、熱拡散材料の有無による暖房効果への影響を検討した。配管の差異による影響はほとんど見られなかったが、熱拡散材料、特に薄様の金属板の使用は暖房速度の向上及び暖房の均一化に効果的であった。4)実大試験住宅への床暖房の施工:最終的な施工方法の開発及び施工性の評価を目的として、実大の試験住宅内の一室に暖房床を施工した。この検討から、開発した方法が良好な施工性、高い自由度をもつことが明らかになった。
著者
土居 修一 中川 明子 吉村 剛 堀沢 栄
出版者
筑波大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

ヤマトシロアリの採取をするためにアカマツあるいはクロマツ林内で枯れ枝や切り株中を探索した時、褐色腐朽材や健全材ではシロアリが営巣・摂食して居ることには頻繁に遭遇するが、白色腐朽材にはほとんどシロアリが営巣・摂食していない,褐色腐朽材ではセルロースやヘミセルロースなどが優先的に分解されリグニンが残されているのでシロアリの餌としてはむしろ不都合であるが、初期腐朽では適度に柔らかくなって養分もほとんど残されており、また腐朽菌種によっては道しるべフェロモンとして働く代謝産物を作ることもあるため営巣・摂食しやすいと考えられる.他方、白色腐朽材にはリグニンが少なくセルロース、ヘミセルロースが残されており、しかも適度に柔らかくなって営巣・摂食しやすく褐色腐朽材より優れた餌になりうるはずであり、上記の事象の合理的な説明がつかない。本研究の目的はこの理由を萌らかにすることである。昨年度は、京大生存研のシロアリ試験地でトランセクト法による調査を実施し、白色腐朽材がイエシロアリおよびヤマトシロア夢に忌避される傾向があることが確認された。また、2年前に埋設しておいたアカマツステークにおいても同様の現象が確認された。しかしながら分離菌で腐朽した木材を加熱すると忌避効果は示されないことがわかった。そこで、今年度は野外杭試験で暴露された腐朽材を試料として加熱、風乾およびそのままの状態で摂食試験を行ない、そのままの状態では、忌避効果が示されることが明らかになった。この試料につき、凍結乾燥後ヘキサン抽出を行い抽出画分をペーパーディスク法で検定したところ、この画分に忌避活性があることが明らかになった。今後、この画分の活性物質の化学構造を特定するとともに、活性を持つ腐朽菌の探索を行う予定である。
著者
土居 修一
巻号頁・発行日
2012

科学研究費助成事業(科学研究費補助金)研究成果報告書:基盤研究(C)2009-2011