著者
土田 寧恵 林 直輝 利川 千絵 山下 祐司 鈴木 高祐 山内 英子
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.80, no.3, pp.480-485, 2019 (Released:2019-09-30)
参考文献数
16

目的:転移再発乳癌の根治はほぼ不可能と言われてきたが,HER2陽性転移再発乳癌に対しては化学療法とペルツズマブ,トラスツズマブ併用療法(PER+HER併用療法)により完全消失例が認められるようになった.当院での経験を報告する.方法:2014年3月から2017年8月に当院でPER+HER併用療法により臨床的完全消失(cCR)を認めたHER2陽性転移再発乳癌症例について,治療効果と効果,臨床病理学的因子を検討した.結果:PER+HER併用療法を施行した93例中10例(10.8%)でcCRを認めた.10例中,乳房手術を施行した3例はいずれも病理学的完全消失を認めた.手術未施行7例中5例は中間観察期間12カ月でcCRを維持していたが,2例では脳転移が出現した.結語:HER2陽性転移再発乳癌においてPER+HER併用療法により完全消失,および長期CRを得る可能性が示された.