著者
福田 大治 吉澤 明男 土田 英実
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.90, no.8, pp.674-679, 2007-08-01
被引用文献数
2

超伝導現象に基づく単一光子検出器は,暗計数が小さい,量子効率が高い,時間分解能が高いなど,既存の半導体による単一光子検出器をはるかにりょうがする性能を有している.この性能を生かし,量子情報通信分野や量子光学の分野では,単一光子レベルの微弱な光パルスを受光するための検出器として超伝導検出器の応用が急速に進められている.特に,量子暗号鍵配布実験では,秘密鍵を共有するための光子検出器に超伝導単一光子検出器を用いることで,量子鍵伝送速度の向上や伝送距離の長距離化が可能であることが実証されている.今後,更なる性能向上や安価な冷凍機の普及が進めば,量子情報通信分野において超伝導単一光子検出器は大きな役割を果たすものと期待されている.