著者
坂口 裕亮 田中 宏 北村 雅彦 松本 有紀 中垣 佳浩 松倉 将史 川辺 朋美 中山 正成
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.76, no.8, pp.e193-e196, 2023 (Released:2023-08-05)
参考文献数
9

CT検査により脊柱管内を大きく占拠する石灰化した椎間板物質を認めた椎間板ヘルニアのミニチュアダックスフンド2症例に遭遇した.2症例ともに脊髄造影検査を実施したところ,神経徴候が悪化した.片側椎弓切除術にて,椎間板物質の摘出を試みたが,周囲組織と癒着しており摘出は困難であった.このことから,CT検査で認められた石灰化した椎間板物質は,脊柱管内で時間経過を経たものと考えられ,脊柱管内を大きく占拠する椎間板物質に長い経過で圧迫されている脊髄に対し,造影剤を注入することで脊髄障害を悪化させた可能性が考えられた.以上より,CT検査によって脊柱管内を大きく占拠する石灰化した椎間板物質を認める症例に対し,脊髄造影検査を実施する際には悪化の可能性を考慮する必要があり,また,手術法やその適応など十分検討が必要であると考えられる.
著者
坂口 裕亮 西田 英高 田中 利幸 田中 美有 金田 昌啓 淡路 俊喜 秋吉 秀保
出版者
一般社団法人 日本獣医麻酔外科学会
雑誌
日本獣医麻酔外科学雑誌 (ISSN:21896623)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.21-24, 2021 (Released:2021-07-06)
参考文献数
7

12歳齢、去勢雄のワイマラナーが急性発症した四肢不全麻痺を主訴に来院した。病変は第5-6頸椎間左側に寄ったⅠ型椎間板ヘルニアだと診断し、片側椎弓切除術を実施した。術中、脱出した椎間板物質を覆う膜状構造物を剥離すると多量の出血が生じた。椎間板物質摘出後に術野の確認を行ったところ、膜状構造物は内椎骨静脈叢であった。本症例では、側方に脱出した椎間板物質によって、内椎骨静脈叢が背外側に圧排されることにより血流が遮断されていたため、内椎骨静脈叢の確認が困難であった。