著者
坂口 頼孝
出版者
崇城大学
雑誌
崇城大学研究報告 (ISSN:21857903)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.1-11, 2009-03-01

「すごく」と「ひどく」は共に程度の甚だしいことを表し、連用修飾をする。その点で「たいそう」や「とても」と似ている。しかし品詞としては副詞ではなく、形容詞連用形と考えるべきである。他の活用形を持ち、意味も変わらないからである。例えば「やつれ方がすごい(すごかった)」「すごいやつれ方」「すごくやつれる」において「すごく」だけを別品詞にするいわれはない。ところが現行の国語辞典を見ると必ずしもそうなっていない。「すごく」「ひどく」(の一方か両方)を副詞として別に立項しているものがある。しかしそれは受け入れがたい。辞書の内部において矛盾をきたしているものもあるし、違いが判然としないものもある。「すごく」と「ひどく」は共に形容詞連用形と位置付けるべきである。「猛烈に」「いやに」など形容動詞(出身の副詞)についても取り上げる。