著者
川島 一郎 日向 英人 中楯 礼人 細川 恵理子 坂本 勇磨 鈴木 潤 熊谷 拓磨 輿石 めぐみ 鈴木 愛 山本 健夫 中嶌 圭 桐戸 敬太
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.83-90, 2023 (Released:2023-03-29)
参考文献数
18

同種造血幹細胞移植(allogeneic hematopoietic stem cell transplantation, allo-HCT)時には低K血症を高頻度に認め,非再発死亡(non-relapse mortality, NRM)との関連も報告されている。しかし,日本のK注射製剤の添付文書を厳格に遵守すると,補正が困難な場合が多い。今回我々はallo-HCTにおける低K血症とK補充療法について検討した。当科で施行したallo-HCT症例75例を後方視的に解析した。低K血症は92%に認め,grade3以上は40%であった。Grade3以上の低K血症を認めた症例は有意にNRMが高く,予後不良であった(1年:30% vs 7%,p=0.008)。75%の症例で,添付文書の範囲を超える補充療法が必要であった。K注射製剤の添付文書の基準は1988年以降見直されておらず,現状に即した改定が望まれる。