著者
坂本 雅彦
出版者
奈良工業高等専門学校
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2002

不織布の新たな技術的応用を図ることを目的に,本年度は,主に円管内流れの新たな流動抵抗低減デバイスとしての不織布の効果について検討した.実験は,不織布を含む7種類の布地を,内径が25mm,全長が6mのアルミニウム円管路壁面に被覆し,水道水と空気とを作動流体に,圧損から管摩擦係数を求め,これら結果を,アルミニウム滑壁面を持つ円管の結果と比較した.また,円管路内の速度分布の測定も併せて実施し,両者の結果を比較した.その結果,本実験範囲では,あるタイプの不織布が流体の種類で異なる管摩擦係数の特性を示すこと,あるタイプの不織布は,アルミニウム滑壁面を持つ円管の管摩擦係数にほぼ等しい結果を示すものの,全ての不織布で明らかな減少効果が認めらなかったこと,不織布を被覆した円管路内速度分布は,アルミニウム滑壁面を持つ円管路の場合に比べ壁近傍で速度の勾配を小さくし,乱れ強さの増加を抑制している効果を持つ,事など明らかにした.今後,摩擦抵抗低減少効果をより定量的に評価・検証するため,矩形管路を対象に,繊維を剛体と仮定して,繊維形状,繊維配列や分布(密度),そして繊維が一定の運動を伴う場合の効果について検討していく予定である.