著者
坂村 博康 佐藤 泰史 宇都野 太 安井 至
出版者
社団法人 環境科学会
雑誌
環境科学会誌 (ISSN:09150048)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.163-169, 1995-05-31 (Released:2010-06-28)
参考文献数
19

地球環境およびリサイクルの問題として,廃プラスチックの処理が世界的に重要な課題となってきている。日本でも年間500万トン以上の廃プラスチックが発生しているが,そのリサイクル量は3割以下であり,かなりの部分が埋立処分や熱回収をしない焼却処分となっている。近年廃プラスチックは焼却してそのエネルギーを回収して有効利用しようとする考えが多くみられるようになってきた。本研究所では,将来廃プラスチックがエネルギーとして回収されるであろうことを予測し,焼却による問題点の一つである燃焼灰に含まれている金属元素の溶出状況を模擬的環境中で調べた。有害金属としては,pb,cdとsbの溶出が比較的顕著に認められた。燃焼灰中の有害金属元素の溶出という観点でみれば,上記3種の有害金属元素を含むプラスチック添加剤の使用を減らすことにより,燃焼灰の安全性は高まるものと推察された。
著者
中澤 克仁 片山 恵一 坂村 博康 安井 至
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.1, pp.45-53, 2001 (Released:2004-02-10)
参考文献数
16
被引用文献数
1

PVC(ポリ塩化ビニル)は燃焼によりHCl(塩化水素)を発生するため,焼却炉の腐食や火災時の人的な被害など,さまざまな問題を抱えている. 本研究では,PVC中に混入することでHCl捕捉効果が確認されているCaCO3およびLi2CO3の粒径調整や脂肪酸による凝集防止を行い,単独または複合配合したPVC試料を作製して,熱分解時に発生するHClの捕捉効果を調べた.また,鉄化合物は熱分解を促進することが知られており,粒径処理等を行ったFeO(OH)を混入したPVC試料についても燃焼実験を試みた. その結果,CaCO3またはLi2CO3単独よりも複合配合すること,特にCaCO3 : Li2CO3 = 3 : 1(モル比)の配合比付近でPVC燃焼におけるHCl発生を効果的に捕捉することが認められた.さらに鉄化合物(FeO(OH))を混入したPVC試料のHCl捕捉効果でも,FeO(OH)の混合配合によるHCl捕捉効果の向上を得た.