著者
坂田 恒昭 松本 弥生
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.1095-1097, 2017

ヒトの腸内には1,000種類以上,40兆個程度とも言われる細菌が存在しており,これは37兆2,000億個とされるヒト細胞数とほぼ同数である.また腸以外にも,皮膚や口腔,鼻腔,膣などの部位に,細菌や真菌,ウイルスなどの様々な微生物が存在しており,これらの集団はマイクロバイオータ(微生物叢)と呼ばれている.そして,マイクロバイオームとはヒト微生物叢(細菌叢,真菌叢およびウイルス叢)のゲノムと,それが発現する遺伝子群,および微生物叢とヒトの相互作用を含む広い概念を現している.この微生物叢がヒトの健康状態,病態に関係していると言われ,空前のマイクロバイオームブームが起こっている.このようななか,筆者らは,2016年から製薬企業を中心にアカデミアで生み出されたマイクロバイオームの研究成果をいかに産業界で応用し,社会還元する仕組みを構築するかの議論をし,2017年4月19日に日本マイクロバイオームコンソーシアム(Japan Microbiome Consortium:JMBC,以下「本法人」という)を設立した.