- 著者
-
坪倉 志乃
井藤 一江
岩谷 有子
小澤 奏
横山 智世子
木村 浩司
切通 正智
山内 和夫
- 出版者
- 一般社団法人 日本口蓋裂学会
- 雑誌
- 日本口蓋裂学会雑誌 (ISSN:03865185)
- 巻号頁・発行日
- vol.15, no.2, pp.132-143, 1990
- 被引用文献数
-
12
広島大学歯学部附属病院矯正科における口唇口蓋裂者の受診状況や上顎歯槽弓形態・crossbiteの状態を把握するために,昭和43年4月の開設から平成元年3月までの21年間に当科で治療を開始した口唇口蓋裂患者532名(男子288名,女子244名)を対象に統計的調査を行い,以下の結果を得た.<BR>1,当科で治療を開始した口唇口蓋裂患者は年間約30名であった.<BR>2.初診時年齢は6歳から8歳が半数を占めていた.<BR>3,口唇口蓋裂患者は,総患者数の10.7%であった.<BR>4.男女比は男子が僅かに女子より多かった.<BR>5.居住地の地域分布では広島県が77.3%を占め,その半数が広島市であった.<BR>6.紹介元の医療施設は広島大学医・歯学部附属病院が50%を占め,診療科別では大学病院または総合病院の口腔外科と歯科および開業歯科が50%を占めていた.<BR>7,一次形成手術を受けた病院は広島大学医・歯学部附属病院が50%を占め,科別では耳鼻科が45%を占めていた.<BR>8.裂型別頻度は,口唇裂1.1%,唇顎裂15.7%,唇顎口蓋裂70.8%,口蓋裂単独12.1% ,正中裂o.4%であった.<BR>9.裂の発生部位別頻度は,左側が最も多く唇顎裂中の65.1%,唇顎口蓋裂中の49,9%であった.次いで,右側(唇顎裂中の30.1%,唇顎口蓋裂中の26.7%),両側(唇顎裂中の4.8%,唇顎口蓋裂中の23.5%)の順であった.<BR>10.裂型別上顎歯槽弓形態は次のようであった.<BR>1)片側性唇顎裂患者は,butt-joint型が90.7%であった.<BR>2)片側性唇顎口蓋裂患者は,butt-joint型68.1%,collapse型22.1%であった.<BR>3)両側性唇顎口蓋裂患者は,butt-joint型32.1%,切爾骨突出型48.1%であった.<BR>11.Crossbiteは,片側性唇顎口蓋裂の97.3%,両側性唇顎口蓋裂の93.8%,口蓋裂単独の91.4%にみられた.