著者
畑下 博世 川井 八重 坪倉 繁美 河田 志帆 笠松 隆洋 鈴木 ひとみ 西出 りつ子
出版者
日本健康医学会
雑誌
日本健康医学会雑誌 (ISSN:13430025)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.287-293, 2014-01-31

精神障害者が入院医療中心の生活から地域生活中心へ転換を図るために,保健所が現在の取組みから考える課題や,今後の保健所の役割について検討することを目的に,全国518保健所を対象に精神保健福祉活動の実態調査を行い,238保健所から回答を得た(回収率45.9%)。地域生活中心への転換に向けた保健所の取り組みとしては,関係機関との調整や連絡会などが行われていた。しかし,長期入院中の患者にアプローチし,退院促進を図る活動実践は約3割に過ぎなかった。都道府県保健所は地域の実態を把握することが容易でないことが予測されるが,これまでの活動で得た経験を生かし,市町村と協同して活動を展開していくことが重要である。また,地域生活を支える保健所の課題として,住民への啓蒙,住宅整備,相談支援体制,就労支援があげられた。これらの充実に向けて,保健所が今後どのような役割を果たしていくのかを検討していく必要のあることが明らかになった。