著者
西出 りつ子 谷崎 美幸
出版者
三重大学医学部看護学科
雑誌
三重看護学誌 (ISSN:13446983)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.73-82, 2007-03-20

就園児の休み明けの疲労度および疲労症状と休日の睡眠の関連を明らかにし, 疲労を軽減させる対策の方向性を探ることを目的として, 2005 年 10 月, 三重県A町立の保育園と幼稚園に通う 1~6 歳児 265 名の家庭に質問紙調査を実施した. 金曜, 休日, 休み明けの疲労症状 10 項目と睡眠習慣について保護者から回答を得, 191 名の有効回答 (有効回答率 72.1%) について分析を行い, 以下の結果が得られた. 1 ) 園児の金曜日の疲労度は休日や休み明けよりも高かった. 休み明けの疲労度が休日より高い児の存在が明らかとなった. 2 ) 休み明け疲労症状 10 項目のうち 6 症状が休日より高く, 「眠そうにしている」 と 「朝からあくびが出ている」 に顕著であった. 3 ) 金曜日 21 時までに就寝する園児は20.3%と少なかった. 休前日または休日 21 時以降に就寝する園児は休み明け 「身体を動かす遊びが少ない」 が有意に高く, 金曜または休前日 21 時以降の就寝や休日8時以降の起床には休み明け 「眠そうにしている」 が高かった. 4 ) 保育園児の 30.4%が高疲労群であり, 幼稚園児の 18.0%より有意に高かった. 休前日または休日22時以降に就寝する園児は, 幼稚園の 32%に比べ保育園が 52%と有意に高かった. 5) 4~6 歳の休み明け低疲労群は, 休前日 21 時までに就寝または休日 8 時までに起床する園児に有意に高かった. 以上より, 園児の休み明けの疲労は休日の睡眠習慣に関連することが明らかとなった. 保護者の生活習慣の違いが園児の疲労や睡眠習慣に影響していることが考えられた. The purpose of this study was to clarify the relationship between the young children fatigue on Monday and their sleep on Sunday to feel out on measure against their fatigue. The samples were 265 families that have the public kindergartner or nursery school child who aged 1-6 years old and lived at A town of Mie Prefecture in Japan (October, 2005). Fatigue was measured by a 10 items questionnaire and sleep habits were reported by the childs parent. Questionnaires from 193 samples were analyzed as valid responses (valid return rate was 72.1%). This study was a repeated measures over four days of fatigue and sleep habits (bedtime and rising time). Results are following:1. a) More severe fatigue on Friday was compared to Sunday or Monday.b) There were the young children who more severe fatigue on Monday was compared to Sunday.2. a) 6 out of 10 fatigue items were more severe on Monday, as compared to Sunday.b) 2 out of the 6 items (looking sleepy and yawning in this morning) were very severe on Monday, as compared to Sunday.3. a) 20.3% of young children went to bed before 9 p.m. on Friday.b) Those children who went to bed after 9 p.m. on Saturday or Sunday, 1 of 10 fatigue items (rarely playing and moving ones body) were more fatigue on Monday. c) Those children who went to after 9 p.m. on Friday or Saturday and rising time after 8 a.m. on Sunday, then on Monday these children looking sleepy.4. a) Young children in high fatigue groups on Monday were: 30.4% nursery school children; 18.0% kindergartners who were higher than the other children.b) 52% nursery school children and 32% kindergartners went to bed after 10 p.m. on Saturday or Sunday. 5. Young children in low fatigue group in the 4-6 years old group, higher percentage of these children went to bed before 9 p.m. on Saturday, or rising time before 8 a.m. on Sunday. In conclusion, we identified that the young children fatigue on Monday had the close relation to their sleep habits (bedtime and rising time) on Friday, Saturday and Sunday. Perhaps the lifestyles of the parent may have major influences on fatigue and sleep habits of their young child.
著者
マルティネス 真喜子 畑下 博世 鈴木 ひとみ Denise M. Saint Arnault 西出 りつ子 谷村 晋 石本 恭子
出版者
日本国際保健医療学会
雑誌
国際保健医療 (ISSN:09176543)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.69-81, 2017-06-20 (Released:2017-07-14)
参考文献数
27

本研究では、ブラジル人妊産褥婦がデカセギ移民として生活する中で、どのような心身の健康状態を体験しているのか、それに相互に影響を及ぼす社会文化的要因を明らかにすることを目的とした。研究対象は、ブラジル人人口が多い2県に在住するブラジル人妊産褥婦18名であった。日本人研究者と、ポルトガル語通訳者が2人1組となり、対象者の自宅で、半構成的インタビューを行った。研究期間は2013年~2014年であった。インタビューは「ヘルプシーキングの文化的要因理論」を用いて実施した。データのコーディングとテーマ抽出は分析的エスノグラフィーを用い、コア・テーマを抽出した。  その結果、心身の症状は、「心配」と「背・肩の痛み」が最も多く、続いて「頭痛」、「いらいらする・怒りっぽい」、「不眠症・眠れない」、「不安」が多かった。それらの原因の説明として、妊娠・子育てによるもの、仕事や収入の不安、外国人であるがゆえのわずらわしさ、頼れる人がいないということを挙げていた。それらに影響を及ぼす社会文化的要因として、【対等で深く結びつく家族の存在】、【労働力でありつづける逞しさ】、【条件の良さを選んで定住】、【保健医療制度への低い満足度】、【宗教によりもたらされる恵み】の5つのコアカテゴリーが抽出された。  日本で生活するブラジル人妊産褥婦は様々な心身症状を体験しており、日本とは異なる家族のあり方や宗教が大きく影響していると考えられた。これらのことが健康に影響するということを理解し、ブラジル人妊産褥婦の適切な保健行動に導けるよう介入しなければならない。
著者
畑下 博世 川井 八重 坪倉 繁美 河田 志帆 笠松 隆洋 鈴木 ひとみ 西出 りつ子
出版者
日本健康医学会
雑誌
日本健康医学会雑誌 (ISSN:13430025)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.287-293, 2014-01-31

精神障害者が入院医療中心の生活から地域生活中心へ転換を図るために,保健所が現在の取組みから考える課題や,今後の保健所の役割について検討することを目的に,全国518保健所を対象に精神保健福祉活動の実態調査を行い,238保健所から回答を得た(回収率45.9%)。地域生活中心への転換に向けた保健所の取り組みとしては,関係機関との調整や連絡会などが行われていた。しかし,長期入院中の患者にアプローチし,退院促進を図る活動実践は約3割に過ぎなかった。都道府県保健所は地域の実態を把握することが容易でないことが予測されるが,これまでの活動で得た経験を生かし,市町村と協同して活動を展開していくことが重要である。また,地域生活を支える保健所の課題として,住民への啓蒙,住宅整備,相談支援体制,就労支援があげられた。これらの充実に向けて,保健所が今後どのような役割を果たしていくのかを検討していく必要のあることが明らかになった。
著者
柳井 晴夫 亀井 智子 中山 和弘 松谷 美和子 岩本 幹子 佐伯 圭一郎 副島 和彦 中野 正孝 中山 洋子 西田 みゆき 藤本 栄子 安ヶ平 伸枝 井上 智子 麻原 きよみ 井部 俊子 及川 郁子 大久保 暢子 小口 江美子 片岡 弥恵子 萱間 真美 鶴若 麻理 林 直子 廣瀬 清人 森 明子 奥 裕美 外崎 明子 伊藤 圭 荘島 宏二郎 植田 喜久子 太田 喜久子 中村 洋一 菅田 勝也 島津 明人 金城 芳秀 小林 康江 小山 眞理子 鶴田 恵子 佐藤 千史 志自岐 康子 鈴木 美和 高木 廣文 西川 浩昭 西山 悦子 野嶋 佐由美 水野 敏子 山本 武志 大熊 恵子 留目 宏美 石井 秀宗 大久保 智也 加納 尚美 工藤 真由美 佐々木 幾美 本田 彰子 隆 朋也 中村 知靖 吉田 千史 西出 りつ子 宮武 陽子 西崎 祐史 山野 泰彦 牛山 杏子 小泉 麗 大西 淳子 松本 文奈 鶴見 紘子
出版者
聖路加看護大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

近年、看護系大学の急増と医療の高度化に伴い、卒業までに取得すべき看護実践能力の評価の重要性が増加している。その一環として、臨地実習に入る直前の段階までに看護学生が取得すべき知識・能力を正しく評価しておくことは看護実習の適正化のための急務の課題である。このような状況に鑑み、申請者は、2008~2010年に科学研究費補助金を受け、看護系大学の学生が臨地実習以前に必要とされる知識・能力の有無を検証することを目的として、看護学18領域から約1500の多肢選択式形式の設問を作成し、730名の学生に紙筆形式のモニター試験、および、220名の学生に対するコンピュータ試験(CBT:Computer Based Testing)を実施し、その結果を比較し、全国看護系大学共用のコンピュータ試験の有用性を確認した。