- 著者
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坪原 紳二
- 出版者
- 公益社団法人 日本都市計画学会
- 雑誌
- 都市計画論文集 (ISSN:09160647)
- 巻号頁・発行日
- vol.50, no.1, pp.89-100, 2015-04-25 (Released:2015-04-25)
- 参考文献数
- 31
本稿は自転車利用者の交通ルール順守を促す手段の一つとして、小学校での交通安全教育に着目する。そしてそのオランダにおける実態を、交通安全教育の小学校教育における位置づけ、そうした位置づけの背景、及び近年進められている交通安全教育の体系化の、大きく3つの視点から明らかにすることを目的とする。第1の交通安全教育の位置づけについては、オランダの小学校の多くが、少なくとも2週間に1回は交通安全教育を実施していることが分かった。その背景については、難易度の高い全国交通テストが直接的背景としてあり、また間接的背景として、実践的交通教育を可能とする教授法、及び質の高い交通教育の継続的実施を促す州の制度、交通安全ラベルがあった。最後に交通安全教育の体系化については、小学校を含む全生涯の各年齢階層に対して学習目標が設定されており、それに照らして教材を評価するツールキット、及びチェックリストが開発されていた。