著者
坪田 織江
出版者
北海道大学大学院文学研究科
雑誌
研究論集 (ISSN:13470132)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.63-82, 2013-12-20

本稿は,1960年代から80年代までのアメリカのパブリック・アートの具体 的事例の検討をもとに,芸術の公共性についての一見解を得ることを目的と する。この時期のパブリック・アート事例としてとりわけ象徴的なのは,1981 年にニューヨークに設置されたリチャード・セラによる彫刻作品『傾いた弧』 である。本作品をめぐり撤去論争が巻き起こり,その後の連邦政府によるパ ブリック・アート政策に影響を与えた。本稿ではこの論争に注目し,一般市 民と作品との関わりの観点から,芸術の公共性について分析・考察を行う。