著者
垣渕 和正 藤目 幸擾
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.385-392, 1994 (Released:2008-05-15)
参考文献数
11

キャベッ, カイラン, コールラビ, ケール, コウサイタイ, パクチョイ, サイシン, ダイコンを供試し,花芽の発育過程, とくに花弁原基の分化と発育について走査型電子顕微鏡を用いて観察した.1.供試したすべての種類において, 花芽発育段階は, 未分化期, 膨大期, 花芽原基分化期, がく片分化期, 雄ずい•雌ずい分化期, 花弁伸長前期, 花弁伸長後期の7段階に分けられた.2.すべての種類について, 花弁原基は雄ずい原基とほぼ同時に分化することが確認された. 特にサイシンの花弁と外輪雄ずいは内輪雄ずいより早い時期に分化していた.3.分化直後の花弁原基は他の花葉原基に比べて極めて小さく, 分化後の発育がしばらくの間停止しており, その発育開始は雄ずいと雌ずいよ•り遅れていた.4.以上の結果, 供試した8種•20品種のアブラナ科蔬菜の花芽では外輪から, がく片, 花弁および雄ずい, 雌ずいの順に分化していると判断された.
著者
髙附 亜矢子 石田 豊 垣渕 和正 櫻井 直樹 村田 芳行 中野 龍平 久保 康隆
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.197-206, 2016 (Released:2016-06-30)
参考文献数
38
被引用文献数
2

収穫後の短時間近赤外光照射(中心波長850 nm,100 μmol・m−2・s−1,5分間)が3種の葉菜の重量減少と気孔開度および外観品質に及ぼす影響を調査した.リーフレタス,ホウレンソウ,コマツナに貯蔵前1回または毎日,近赤外光を5分間照射し,ポリ袋密封包装または有孔ポリ袋包装を行い,10°C暗所に保存した.いずれの葉菜でもポリ袋密封包装と有孔ポリ袋包装にかかわらず,貯蔵3日後の近赤外光照射区の重量減少率と気孔開度は無照射区と比較して小さくなり,照射区では外観品質も優れた.その効果は近赤外光1回照射区より毎日照射区の方が大きくなる傾向を示した.有孔ポリ袋に包んだ葉菜類を10°C下で暗所および明所に保存し,近赤外光照射の効果を経時的に調べたところ,いずれの条件でも近赤外光照射による蒸散抑制,外観品質保持効果が確認された.その効果は1回照射よりも毎日照射区で優れ,特に,ホウレンソウでその効果が大きかった.本研究の結果は収穫後の短期間近赤外光照射は流通中の葉菜類の付加的な品質保持技術として応用できる可能性を示すものである.