著者
手島 和之 山本 道代 垣谷 正幸
出版者
東北区水産研究所
雑誌
東北区水産研究所研究報告 (ISSN:0049402X)
巻号頁・発行日
no.64, pp.37-41, 2001-03

平成4(1992)年3月に瀬戸内海でサメによる人身事故が発生して以来,サメ類に対する関心が急速に高まった。このような事故を未然に回避する目的で,サメ類の情報を収集し,公開するための連絡網が直ちに設立された。今回,平成4(1992)年~平成10(1998)年にかけて収集された情報に基づいて,瀬戸内海に出現したサメ類について,若干の検討を行った。1) この期間中に,捕獲され,同定されたサメ類は68個体で,7科9属13種であった。2) これらのサメ類の内,メジロザメ類(50%),シュモクザメ類(20%)及びホホジロザメ(9%)が多く出現した。3) サメ類の個体数の変動と,餌となる小型浮魚類や表面水温の変動との間には,相関関係は認められなかった。4) 大型のサメ類は,瀬戸内海を回遊経路の一部として利用した傾向にあると考えられた。