著者
手島 和之
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.7-12, 1975-08-20 (Released:2011-02-23)
参考文献数
7

ホシザメ属のシロザメM.griseusは胎盤を形成する. このシロザメの胎盤を用いて, 胎盤の形成および構造を組織学的に追求した. 妊娠初期における子宮内表面は重層の立方上皮により形成されている.しかしながら, 妊娠が進むにつれて, 子宮内表面は重層より単層円柱上皮へと移行する. 胎盤は胎盤母体部 (子宮壁) と胎盤胎児部 (卵黄嚢壁) により形成される. この両組織の間に胎児膜が存在する. 胎盤母体部上皮は同一子宮の他の部位と比べると極めてうすい. 一方, 胎盤胎児部上皮も同一卵黄嚢壁の他の部位と比べると極めてうすい. 妊娠が進んで, 胎児が全長で150mm以上に成長すると, 胎盤母体部の上皮の大部分が消失する. 同時に, 胎盤胎児部の上皮も同様な傾向を示す.すなわち, 十分に発達した胎盤では, 母体部毛細血管網と胎児部毛細血管網とが胎児膜をはさんで接している.
著者
手島 和之 山本 道代 垣谷 正幸
出版者
東北区水産研究所
雑誌
東北区水産研究所研究報告 (ISSN:0049402X)
巻号頁・発行日
no.64, pp.37-41, 2001-03

平成4(1992)年3月に瀬戸内海でサメによる人身事故が発生して以来,サメ類に対する関心が急速に高まった。このような事故を未然に回避する目的で,サメ類の情報を収集し,公開するための連絡網が直ちに設立された。今回,平成4(1992)年~平成10(1998)年にかけて収集された情報に基づいて,瀬戸内海に出現したサメ類について,若干の検討を行った。1) この期間中に,捕獲され,同定されたサメ類は68個体で,7科9属13種であった。2) これらのサメ類の内,メジロザメ類(50%),シュモクザメ類(20%)及びホホジロザメ(9%)が多く出現した。3) サメ類の個体数の変動と,餌となる小型浮魚類や表面水温の変動との間には,相関関係は認められなかった。4) 大型のサメ類は,瀬戸内海を回遊経路の一部として利用した傾向にあると考えられた。