著者
与那嶺 かおる 城島 十三夫
出版者
南九州大学
雑誌
南九州大学研究報告 自然科学編 (ISSN:1348639X)
巻号頁・発行日
no.35, pp.25-34, 2005-04
被引用文献数
1

新しい導入野菜、リーフレタス(Lacuca saiva var.crispa)およびチコリー(Cichorium inybus)のreviso ypeとwiloof ypeを新しいJAS規格による有機栽培を行い、それぞれの生育と収量について検討した。1.11月中旬に播種したリーフレタス"チマ・サンチュ""の2月-4月(実質2.5ヶ月)収量は有機液肥コーン・スティープリカー(ネイチャーエイド)を主に施用したNA区とこれに有効微生物を混用したNAH区が優れ、試験区実面積m(2)当たり約700枚、6kgの高収量であった。化学液肥で栽培したCHF区において2月下旬から白絹病が発生し、4月中旬までに50%-75%の株が枯死した。NA区およびNAH区においては、全く発病は見られなかった。2.同時期に栽培したrebiso ypeのチコリー"トレビス・ビター""は高温期の収穫となったために生育が劣り、収穫率は、NA区(81%)で高く、NAH区(68%)、CHF区(43%)の順で収穫量もこれに準じた。葉色の赤色の度合いを示す色値a値は、NA区(7.72)が最も高く、NAH区(6.43)、CHF区(4.73)の順で、収量、葉色ともにNA区が優れた。3.wiloof ypeチコリー"JS36""の根株養成期においてCHF区は茎葉の生育は優れたものの肥大根の生育が劣り、NA区は茎葉が過繁茂とならず、肥大根の生育が優れた。軟白に使用された根株の調製重と、収穫されたチコンの重量との間に正の相関が認められた。
著者
城島 十三夫
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.109-114, 1994 (Released:2008-05-15)
参考文献数
15
被引用文献数
5 4

トマトの果実の着色状況 (着色または広義の果色)は熟度の指標としてのみでなく, 品質の重要な要素としても利用されている. 特に, 樹上成熟トマトの消費が近年高まるにつれて, 果色は品質要素として一層重要視される傾向がみられる (阿部ら, 1970;東尾ら,1989).ところで, 我が国におけるトマトの一般栽培品種は現在のところ果肉が桃赤色の品種にほとんど限られているが, 黄色系や橙色系品種も時にみられるようになってきた. トマトの果色発現には, かなりの数の遺伝子が関与していることが知られているが (Kargelら,1960;Khudairi, 1972;Stevens-Rick, 1986;Tomesら,1953), 赤色, 黄色そして橙色など基本的な果肉の色には主にRおよびT遺伝子座が関与し, Rは生成されるカロテン色素の量を, そしてTは生成されるそのカロテン類の化学型を決定する. したがって, 遺伝子型R-T- (RRTT, RRTt, RrTT, またはRrTt) のにおいてはトランス型のリコペンが果肉内部で多量に生成集積されるため赤色果肉の果実 (桃赤色系を含めた一般的な赤色型, 以下同様) となり, そしてrrT-(rrTTまたはrrTt) ではトランス型のβ-カロテンのみを少量形成するため黄色の果実 (黄色型) となる.一方, R-tt (RRttまたはRrtt) ではシス型の種々のカロテン類を多量に形成するため橙色果実 (橙色型)となり, そしてrrttではそれらの量が少なくなるため黄橙色果実 (黄橙色型) となる (広田, 1975;Jenkins•Mackinney, 1953,1955;LeRosenら, 1941). これらの果色は色相を表わすa, bの比 (a/b値) によって明確に類別された (城島ら, 1986). さらに, それぞれの果色型の色素成分および色素量の分析も比較的容易に行えるようになった (Johjima•Ogura, 1983;Johjima, 1993).そこで, 本報ではRとT遺伝子が関与する種々の遺伝子型系統を供試して, トマトの基本的な果色型の露地およびハウス栽培, さらに, 着色障害の発生が顕著な32°C以上 (施山•阿部, 1977;Tomes, 1963)の高温環境下における着色特性と色素含量, 組成について調査し, これらの間の関係について明らかにした,