- 著者
-
岸 優斗
竹林 崇
堀 翔平
花田 恵介
- 出版者
- 一般社団法人 日本作業療法士協会
- 雑誌
- 作業療法 (ISSN:02894920)
- 巻号頁・発行日
- vol.40, no.3, pp.336-343, 2021-06-15 (Released:2021-06-15)
- 参考文献数
- 16
脳卒中慢性期の重度片麻痺例に対し,先端機器を備えていない施設において行った具体的介入や,その経過を共有することは意義がある.今回,発症から13年経過した重度上肢麻痺を呈した脳卒中患者に対し,ADOCを用いた目標設定を行い,電気刺激療法や装具療法,促通反復療法,CI療法を用いて複合的に介入した.その結果,麻痺手の機能は介入前後で大きく変化しなかったが,麻痺手による意味のある作業を獲得でき,主観的評価も改善した.本事例への介入は,限られた設備環境であっても実現可能な内容である.麻痺手機能の向上と日常生活での麻痺手の使用を促す関わりは,重度片麻痺患者の意味のある作業に寄与する可能性がある.