著者
徳田 和宏 竹林 崇 海瀬 一也 小山 隆 藤田 敏晃
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11643, (Released:2020-01-16)
参考文献数
34
被引用文献数
1

【目的】BAD の運動機能予後の予測について検討した。【方法】BAD101 例を退院時良好群と不良群に分類し年齢,性別,麻痺側,入院時National Institute of Health Stroke Scale(以下,NIHSS),病変部位,梗塞面積,リハ開始日,Fugl-Meyer Assessment(以下,FMA),Mini-mental State Examination(以下,MMSE),在院日数,OT・PT 単位を調査し,単変量解析(χ2 検定,対応のないt検定)と退院時FMA を目的変数としたロジスティック回帰分析を行い有意差のあった因子からカットオフ値を算出した。【結果】良好群は不良群と比較し年齢,NIHSS,梗塞面積,在院日数は低くFMA とMMSE は高かった(p<0.05)。また,リハ開始時FMA のカットオフ値は上肢18 点,下肢19 点であった。【結論】BAD の運動機能予後の予測にはリハ開始時FMA が関連していた。
著者
徳田 和宏 石垣 賢和 竹林 崇
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.673-688, 2020-12-15 (Released:2020-12-15)
参考文献数
16
被引用文献数
2

要旨:上肢機能障害へのエビデンスの多くは,生活期を対象者とするものが多く,急性期においてもエビデンスレベルの高い研究が望まれるが,急性期の時期に比較試験を行うことは容易ではない.今回,脳卒中後上肢麻痺において,定期的な評価データを後方視的に抽出し傾向スコアの算出からデータプールを構築した.データプールの構築は,急性期において課題とされる対照群を設定することができ,本研究データを多くの施設が共有することで,既存の介入や新たな介入成果について検討できると考えられる.本データの使用例として,今回の対象期間に病棟実施型CI療法を実施した群を介入群とし,傾向スコアマッチングを行った.その結果についても検討したので報告する.
著者
山本 勝仁 竹林 崇 高井 京子 徳田 和宏 細見 雅史
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.478-485, 2020-08-15 (Released:2020-08-15)
参考文献数
20

要旨:本試験は,脳卒中急性期脳卒中患者に対し,病棟での自主練習を含むmodified CI療法(以下,病棟実施型CI療法)が麻痺手の機能・行動に与える影響を調べることを目的に実施した.方法は,急性期脳卒中患者に対し,訓練室で行われる通常のmodified CI療法(以下,mCI療法)と病棟実施型CI療法が麻痺手の機能と使用行動に与える影響について,後ろ向きコホート試験で探索的に比較した.その結果,両群とも麻痺手の機能・行動は介入前後に有意に改善した.しかし,群間比較では,麻痺手の使用行動のみ,病棟実施型CI療法が,通常のmCI療法に比べ,有意に改善した.病棟実施型CI療法は,実生活の麻痺手の使用行動に影響を与える可能性がある.
著者
竹林 崇
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.10-16, 2020-02-15 (Released:2020-02-15)
参考文献数
7

昨今,医療・介護領域でエビデンスに注目が集まっている.エビデンスとは証拠であり,正確な医療・介護を実施するためのフレームである.エビデンスに基づいたアプローチ(Evidence based practice)を行う際には,なくてはならないものである.しかしながら,リハビリテーション領域,特に作業療法の領域では,これらエビデンスの構築が遅れていると,団体内外から声が上がっているのが現状である.本稿では,その中でも比較的エビデンスが豊富な領域である作業療法における脳卒中後の上肢麻痺に関わるエビデンス構築の推移を,事例報告からランダム化比較試験まで記載した.
著者
花田 恵介 空野 楓 河野 正志 竹林 崇 平山 和美
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.118-126, 2020-02-15 (Released:2020-02-15)
参考文献数
20

右手動作の拙劣さと両手に道具把握の障害を呈した,左の前頭葉および頭頂側頭葉梗塞例を経験した.手指分離動作は十分可能で協調運動障害もなかった.しかし,右手での手指形態模倣や,衣服のボタン操作,手袋の操作が困難であった.さらに箸やスプーン,ハサミなどが,左右手ともうまく把握できなかった.この症状に対して右手の課題指向型訓練を14日間実施した.本例は道具を一旦正しく把握できれば,それ以降の使用動作は問題なく行えた.また,把握の誤りは,検査者が道具を手渡したり,一方の手でもう一方の手に道具を持たせたりすると少なくなった.この残存能力を生かして訓練を行ったところ,日常生活における右手の使用頻度が増加した.
著者
田中 卓 竹林 崇 花田 恵介
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.86-93, 2022-02-15 (Released:2022-02-15)
参考文献数
23

今回,脳卒中後左片麻痺と左半側空間無視を伴う全般的認知機能障害を呈した事例に対して,病態に応じた工夫を施した麻痺手に対する複合的なアプローチ(病棟スタッフ主体のTransfer Packageや課題指向型アプローチ,電気・振動刺激)を実施した.結果,予後不良と考えられた事例において,臨床上意味のある最小変化量を超えた上肢機能の改善と,意味のある作業の達成が可能となった.さらに,半側空間無視も中等度の障害から軽度の障害への変化が見られた.回復期の介入のため,自然回復の影響は否めないが,本介入は認知機能低下を呈した事例に対する上肢機能アプローチにおける工夫として有用な可能性があると考えられた.
著者
石垣 賢和 竹林 崇 前田 尚賜 髙橋 佑弥
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.689-703, 2020-12-15 (Released:2020-12-15)
参考文献数
18

要旨:エビデンスレベルの高い介入研究を実施するためには,対照群を設定する必要があるが倫理的に容易ではない.本研究では,一般臨床のデータを後方視的に抽出することにより,214名の脳卒中後上肢麻痺における回復期の傾向スコア算出のためのデータプールを構築した.データの使用例として,過去に著者らが実施した,対照群を用いない前後比較試験のデータを介入群とした傾向スコアマッチングを行った結果についても併せて報告する.本研究のデータを多くの研究者や臨床家が対照群として使用することにより,臨床研究の質向上に貢献できると考える.
著者
花田 恵介 勝山 美海 河野 正志 竹林 崇 平山 和美
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.503-511, 2021-08-15 (Released:2021-08-15)
参考文献数
20

要旨:体性感覚障害は脳卒中後にしばしば起きる症状だが,体性感覚障害に対する介入が,対象者の内観や生活行動にどのような変容をもたらすかは明らかでない.今回我々は,重度の体性感覚鈍麻によって,日常生活で左手の使用に困難をきたした脳卒中慢性期の男性を経験した.Careyらが示した原則(1993,2012)に準じて,体性感覚刺激を弁別したり同定したりする能動的感覚再学習を1回1時間,週2回,8週間行ったところ,左手の体性感覚の一部と日常生活における使用感が改善した.改善の背景に,残存能力を用いた意識的な代償がうかがわれ,能動的感覚再学習がそれを促した可能性が考えられた.
著者
庵本 直矢 竹林 崇 池場 奈菜
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.204-213, 2021-04-15 (Released:2021-04-15)
参考文献数
25

我々は回復期の脳卒中後中等度から重度上肢麻痺患者5名に対し,ReoGo®-Jを用いた自主練習(以下,ロボット療法)とCI療法に準じた介入(以下,修正CI療法)を提供後,自宅退院1ヵ月後の麻痺手の機能と使用行動を観察した.その結果,介入前後では上肢機能と麻痺手の使用行動の改善が得られ,退院後の経過では,上肢機能や麻痺手の使用行動が維持されていた.これらの結果より,回復期脳卒中後の中等度から重度上肢麻痺に対しては,ロボット療法を活用しつつ修正CI療法を実施することで,効率的に機能改善や麻痺手の使用行動の改善が得られるだけでなく,退院後も麻痺手の機能や使用行動を維持できる可能性が示唆された.
著者
徳田 和宏 竹林 崇 海瀬 一也 小山 隆 藤田 敏晃
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.113-121, 2020 (Released:2020-04-20)
参考文献数
34

【目的】BAD の運動機能予後の予測について検討した。【方法】BAD101 例を退院時良好群と不良群に分類し年齢,性別,麻痺側,入院時National Institute of Health Stroke Scale(以下,NIHSS),病変部位,梗塞面積,リハ開始日,Fugl-Meyer Assessment(以下,FMA),Mini-mental State Examination(以下,MMSE),在院日数,OT・PT 単位を調査し,単変量解析(χ2 検定,対応のないt検定)と退院時FMA を目的変数としたロジスティック回帰分析を行い有意差のあった因子からカットオフ値を算出した。【結果】良好群は不良群と比較し年齢,NIHSS,梗塞面積,在院日数は低くFMA とMMSE は高かった(p<0.05)。また,リハ開始時FMA のカットオフ値は上肢18 点,下肢19 点であった。【結論】BAD の運動機能予後の予測にはリハ開始時FMA が関連していた。
著者
小渕 浩平 竹林 崇 花田 恵介 徳田 和宏 中村 裕一
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.703-710, 2022-12-15 (Released:2022-12-15)
参考文献数
22

脳卒中後の上肢麻痺に対するエビデンスの確立されたアプローチの多くは,生活期の患者を対象としている.急性期でもエビデンスレベルの高い研究が望まれるが,急性期に比較試験を行うことは容易でない.そこで今回,急性期での修正CI療法の効果を推定するために,先行研究のデータプールを用いて,課題とされる対照群を設定し,介入群と傾向スコアマッチングによる比較検討を行った.結果,急性期での修正CI療法の実施は,比較的予後が良好な自宅退院例では有効な可能性がある一方で,回復期転院例では,短期間で十分な効果が得られない可能性が示唆された.今後は,麻痺手の使用行動に関する影響に関しても比較検討を行っていく.
著者
徳田 和宏 竹林 崇 藤田 敏晃
出版者
三輪書店
巻号頁・発行日
pp.1009-1013, 2019-08-15

Abstract:【目的】近年,急性期からの上肢麻痺に対する集中練習も有用とされつつある.今回,練習量確保のため病棟看護師と協働して行う病棟実施型のconstraint-induced movement therapy(CI療法)を開始したので,これらの結果について報告する.【方法】病棟実施型のCI療法を実施した脳卒中 8例について,介入前後におけるFugl-Meyer Assessment(FMA),Motor Activity Log(MAL)のamount of use(AOU)とquality of movement(QOM),Canadian Occupational Performance Measure(COPM)における満足度,遂行度を測定した.【結果】FMA,MALのAOUとQOM,COPMの満足度と遂行度のすべての項目において,有意な改善が認められていた.また,効果量についても全項目において大きな改善を認める結果であった.【結論】急性期からの病棟実施型のCI療法は,学習性不使用の防止や実生活での麻痺手を使用する行動変容に寄与できる可能性があり,中・長期予後によい影響を与える可能性が示唆された.
著者
庵本 直矢 稲垣 亜紀 柏木 晴子 竹林 崇 花田 恵介
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.78-85, 2022-02-15 (Released:2022-02-15)
参考文献数
21

今回,脳出血後に上肢麻痺を呈した2症例に対し,脳卒中後の上肢麻痺に対してエビデンスが確立された介入を麻痺手の状態に合わせて行った.また,得られた上肢機能や使用行動の改善と白質のFractional Anisotropy(以下,FA)の変化の関連性を検討した.結果,2症例ともに上肢機能や使用行動の改善が得られ,FAでは鉤状束のみが両者とも向上した.そのため,上肢機能や使用行動の改善に伴って,運動機能に関わる皮質脊髄路の可塑的変化が生じる可能性は低いと思われた.一方で,報酬系に関わる鉤状束の可塑的変化が生じる可能性が示された.
著者
金子 隆生 黒坂 浩平 竹林 崇
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.199-205, 2023-04-15 (Released:2023-04-15)

脳梗塞により利き手に麻痺を呈した事例に対し,機能面の介入のみならず,作業に関する自己評価・改訂第2版(OSA-Ⅱ)や一般職業適性検査(GATB)を活用し,相互作用をもたらすような作業療法介入を実施した.約5ヵ月の関わりによって,麻痺手の機能と実生活における使用行動において臨床上意味のある最小変化量(MCID)を超える変化が得られ,最終的に復職に至った.本事例に関しては,OSA-ⅡやGATBを用いた復職を見据えた包括的な介入が有効であり,行動変容につながったと考えられた.
著者
岸 優斗 竹林 崇 堀 翔平 花田 恵介
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.336-343, 2021-06-15 (Released:2021-06-15)
参考文献数
16

脳卒中慢性期の重度片麻痺例に対し,先端機器を備えていない施設において行った具体的介入や,その経過を共有することは意義がある.今回,発症から13年経過した重度上肢麻痺を呈した脳卒中患者に対し,ADOCを用いた目標設定を行い,電気刺激療法や装具療法,促通反復療法,CI療法を用いて複合的に介入した.その結果,麻痺手の機能は介入前後で大きく変化しなかったが,麻痺手による意味のある作業を獲得でき,主観的評価も改善した.本事例への介入は,限られた設備環境であっても実現可能な内容である.麻痺手機能の向上と日常生活での麻痺手の使用を促す関わりは,重度片麻痺患者の意味のある作業に寄与する可能性がある.
著者
小渕 浩平 竹林 崇 松井 克明 村岡 尚 中村 裕一
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.497-504, 2019-08-15 (Released:2019-08-15)
参考文献数
19

学習性不使用による慢性期脳卒中後の上肢運動障害に対し,Constraint-induced movement therapy(以下,CI療法)の主要コンセプトであるTransfer packageを,外来作業療法にて実施した.低頻度(週1回20分)であったが,4ヵ月後には臨床上重要な最小変化を大きく超える,麻痺手の使用行動と上肢機能の改善を認めた.さらに,事例が目標とした活動の多くを獲得することができた.CI療法は,訓練時間や医療保険適応の問題が指摘されているが,事例の状態によっては,必要なコンセプトを中心に,低頻度の介入でも効果が得られる可能性が示唆された.
著者
小渕 浩平 竹林 崇 花田 恵介 松井 克明 中村 裕一
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.694-702, 2022-12-15 (Released:2022-12-15)
参考文献数
24

本邦では,急性期でのCI療法後の長期経過を観察した研究は見当たらない.今回,急性期にて1日2時間以内の修正CI療法を実施した複数の対象者について,介入から1年後までの長期間の追跡調査を行い,麻痺側上肢の回復経過を観察した.結果,FMA,MALともに,介入後・介入1年後と時点の固定効果で有意な差を認めた.またMALは,短期・長期ともにMCIDを超える変化を認めた.さらに,長期的なFMAの改善は,MALと強い関連があることが示された.本研究から,急性期においても適応患者によっては,修正CI療法が長期的にも上肢機能と麻痺手の使用行動に良好な変化を与える可能性が示唆された.
著者
石根 幹久 花田 恵介 徳田 和宏 竹林 崇 藤田 敏晃
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.780-787, 2023-12-15 (Released:2023-12-15)
参考文献数
26

脳卒中患者の上肢機能と麻痺手の使用頻度はしばしば正の相関があるが,一方で乖離があることも報告されている.しかし,先行研究には高次脳機能障害による影響を検討した報告はほとんどない.今回,脳卒中発症後に麻痺側上肢の運動機能は向上したにもかかわらず,日常生活での麻痺手の使用行動に繋がらなかった70歳代男性を経験した.詳細な神経心理学的な検討を行ったところ,運動無視や無為を認めた.本例においては,これらが麻痺手の使用頻度に影響を与えていた可能性が考えられた.
著者
福山 千愛 竹林 崇 竹内 健太 山口 理恵 島田 真一
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.519-526, 2021-08-15 (Released:2021-08-15)
参考文献数
17

要旨:セルフアウェアネスの低下は,日常生活動作の改善やリハビリテーションの阻害因子の1つである.しかし,セルフアウェアネスに対する介入方法やその効果は十分に検討されていない.今回我々は,高次脳機能障害によりセルフアウェアネスの低下を呈した回復期脳卒中患者に対し,作業活動にセルフアウェアネスの促進を目的とした行動学的技法を組み合わせたアプローチを実施した.その結果,身体機能,神経心理学的検査結果に著明な変化がないにもかかわらず,活動パフォーマンスの向上を認め,セルフアウェアネスの改善を示唆する知見を得た.以上より,本アプローチが,活動だけでなく,セルフアウェアネスの改善に対して有用である可能性が示唆された.
著者
佐藤 光 竹林 崇 花田 恵介 渡嘉敷 淳 宇都宮 裕人
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.711-718, 2022-12-15 (Released:2022-12-15)
参考文献数
10

近年,遠隔リハビリテーションの有効性が示されている.米国では脳卒中患者に対し,遠隔Constraint-induced movement therapy(CI療法)が古くから試行されている.事例は脳卒中後右片麻痺を呈し,回復期リハビリテーション病棟退院後当院への外来受診を検討していたが,通院が困難であった.したがって,1回40分の遠隔CI療法を週2回の頻度で計8回実施した.結果,Fugl-Meyer Assessment,Motor Activity Logが回復期リハビリテーション病棟退院後に,臨床的に意味のある最小変化量を超える改善を認めた.本報告では,遠隔CI療法における経過を報告する.