- 著者
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茂木 正樹
藤澤 睦夫
山下 史朗
堀内 正嗣
片木 良典
- 出版者
- 一般社団法人 日本脳卒中学会
- 雑誌
- 脳卒中 (ISSN:09120726)
- 巻号頁・発行日
- vol.33, no.6, pp.583-589, 2011 (Released:2011-11-25)
- 参考文献数
- 10
- 被引用文献数
-
1
64歳女性.6年前に右小脳梗塞を発症後外来通院中であった.朝起床できず発語が認められないため来院.神経学的所見では下肢優位の右片麻痺と失語を認め,MRAにて左前大脳動脈(A2)の閉塞を認めた.入院後,ワルファリンによる抗凝固療法施行にても左後大脳動脈(P2),および左中大脳動脈(M1)の脳梗塞を再発した.CA19-9が12000 U/ml以上と著増を示し,腹部CTにて膵尾部に内部壊死を伴い多発性の肝転移を伴う径4 cmを超える腫瘍が認められ,再発性脳梗塞は進行性膵癌に伴ったTrousseau症候群と診断し,第34病日より抗凝固療法を低分子ヘパリンに変更した.膵癌はStage IVbで進行度が著しく,他院消化器内科と相談のうえ緩和治療を施行.入院2カ月後に永眠された.今回膵癌に伴い脳梗塞を繰り返したTrousseau症候群の1例を経験したので報告する.