著者
奥野 孝英 森 光司 堀尾 喜彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.741, pp.23-28, 2004-03-19

スイッチト・キヤパシタ(SC)カオスニューロン回路を用いた,400ニューロンカオスニューロコンピュータを構築し,400ニューロンシステムに動的連想記憶を実装する.連想記憶におけるカオス的振る舞いは,実数の複雑さによってもたらせる.カオスニューロコンピュータに実装されているSCニューロン回路は,アナログ回路で構成されている.アナログ回路は,状態変数が連続値であるため,実数値を扱うことができる.従って,カオス的振る舞いを忠実に再現することができる.一方,デジタル計算機は,実数を扱うことが原理的に不可能である.本稿では,400ニューロンシステムの動作検証結果を報告するとともに,400ニューロン動的連想記憶におけるカオスニューロコンピュータハードウェアとデジタル計算機によるコンピュータシミュレーションの結果から,ネットワークの挙動の違いについての比較・検討を試みる.また,コンピュータシミュレーションでは,ハードウェアの特性を考慮して行う.
著者
奥野 孝英 小澤 弘和 堀尾 喜彦 合原 一幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.37, pp.37-42, 2003-05-01
被引用文献数
2

最大で1万ニューロン・1億シナプスを有する大規模カオスニューロコンピュータシステムの階層的構成要素である,「ボード」,「ユニット」,「システム」のそれぞれの実現法を提案すると共に,それらのハードウェア実装について詳しく述べる.ボード階層は,ニューロンボートとコントロールボードから成り,さらに,最大10枚のニューロンボードと1枚のコントロールボードによりユニット階層を構成する.システムは,ユニットを最大で100台,特別に設計したバケツリレー式バスにより接続して実装する.次に,2つのユニットから成る200ニューロン・40,000シナプスプロトタイプシステムを構築する.大規模カオスニューロコンピュータシステムの構成が階層的である事に加え,各階層を実装するハードウェアがモジュール化されているため,この2ユニットシステムの動作を検証する事により,1万ニューロンシステムの動作検証に代える事が可能である.2ユニットシステム全体の動作確認は,169個のニューロンから成る動的連想記憶ネットワークにより行なった.その結果,提案したカオスニュ一ロコンピュータプロトタイプシステムの正常な動作を確認した.
著者
小林 千織 堀尾 喜彦 合原 一幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.464, pp.13-20, 2001-11-21
被引用文献数
7

1万個のカオスニューロンを1億個のシナプスで完全相互結合させた, 大規模カオスニューロンコンピュータを構築するためのカオスニューロン集積回路を提案する.この回路はスイッチトキャパシタ(SC)回路技術を用いており, 3つの内部状態を持つカオスニューロンモデルを実装している.ニューロンモデル内の全てのパラメータは, プログラマブルキャパシティブアレイ(PCA)によりディジタル信号で制御可能である.また, ニューロンの出力関数特性は双極あるいは単極のいずれかの特性を選択でき, その伝達特性は外部バイアス電圧により調節することができる.ニューロンのアナログ出力値は軸索伝搬関数回路により2値化し, 外部のディジタルシナプス集積回路へ伝達する.一方, シナプス回路で加算された重み付き加算値は符号付き8-bit信号としてニューロン回路に渡される.このディジタルプロセスを用いてニューロン回路を集積化し, その特性を測定した.その結果, 提案した回路の特性が1万ニューロンシステムに必要な仕様を満たしていることが確認された.
著者
小沢 弘和 中村 俊紀 堀尾 喜彦 合原 一幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.609, pp.45-50, 2001-01-26
被引用文献数
4

一万ニューロン一億シナプスカオスニューロコンピュータを構築するため, スイッチト・キャパシタ(SC)カオスニューロン回路一万個を相互結合するディジタルシナプス集積回路を設計製作した.一万個の入力を可能とするため入力には時分割多重を用いた.さらに, 一万入力の重み付き加算を高速に計算するため, メモリベース構成を採用し, これに加算器も併用した.また完全な線形加算を行うため, 内部のデータ表現は22bitとした.さらに, SCカオスニューロンチップの入力仕様を満たすためのデータコンバータ回路を内臓した.また, チップの機能テストを行うための回路も内蔵した.このシナプスチップはVerilog-HDLにより設計し, ASICで実装した.さらにテストベンチを二種類製作し, シナプスチップの検査および評価を行った.