著者
堀川 勇次 佐々木 勝昭 宇都宮 直樹
出版者
近畿大学農学部
雑誌
近畿大学農学部紀要 = Memoirs of the Faculty of Agriculture of Kinki University (ISSN:04538889)
巻号頁・発行日
no.38, pp.19-30, 2005-03 (Released:2011-03-05)

近年、日本でもマンゴーのハウス栽培が盛んになりつつあるが、その害虫や訪花昆虫についてはあまり調べられていない。そこで、本研究ではマンゴーハウスに出現する害虫、訪花昆虫を調べ、効果的な防除法と受粉法について検討した。以下3種類の調査を近畿大学附属湯浅農場の2つの温室で行った。訪花昆虫調査では、全部で6目27科40種以上の訪花昆虫が確認された。中でも個体数が最も多かった昆虫は双翅目であった。本農場では受粉効率を上げるためセイヨウミツバチを放飼しているが、着果率はあまり良くない。今後、さらなる着果率向上を目指しミツバチと双翅目の併用を検討する必要があると考えられた。アザミウマ等の害虫調査では、粘着テープを温室内に設置し、付着した昆虫を調べた。その結果、7目21科26種以上が確認された。中でも重要害虫のアザミウマはチャノキイロアザミウマが最も多かった。また、アザミウマの捕獲個体密度は農薬散布区よりも無農薬区の方が圧倒的に多かった。被害果実も無農薬区では非常に多くなり、農薬散布は現在のところ不可欠であると思われた。吸蛾類調査では、全部で9科34種以上の蛾の温室への飛来が確認された。その中で口吻を果実に突き刺し果汁を吸っているところが確認された蛾はヤガ科の3種であった。これらヤガ科による果実への被害を未然に防ぐ必要があると思われた。