著者
神崎 真哉 井上 紘一 宇都宮 直樹 矢野 正善
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.1-7, 2013 (Released:2013-04-01)
参考文献数
20
被引用文献数
4

本研究では7種類のモミジSSRマーカーを開発し,それらを用いてモミジ園芸品種107品種の多様性解析を行った.全部で87個の対立遺伝子が検出され,遺伝子座当たりの対立遺伝子数は4~25個,平均12.43個となった.ほとんどの品種で独自のSSRプロファイルを持っており,品種識別マーカーとしての有効性が確認された.7遺伝子座すべてで同一のプロファイルを示したグループもいくつかあったが,それらは枝変わりや異名同種であると考えられた.主成分分析の結果,供試した107品種はイロハモミジ系品種群(Palmatumグループ)とオオモミジ・ヤマモミジ系品種群(Amoenumグループ)の2つのグループに分けられた.AMOVAによりこれらのグループ間の変異は有意であることが示された.また,園芸品種においては,オオモミジ系品種群とヤマモミジ系品種群を明確に区別することはできないことが示された.以上の結果より,イロハモミジ系品種の多くはオオモミジ・ヤマモミジ系品種とは離れて独自に発達してきたのに対し,モミジ園芸品種においてはA. amoenumの2つの変種を遺伝的に区別することはできないことが示された.
著者
田村 美穂子 田尾 龍太郎 米森 敬三 宇都宮 直樹 杉浦 明
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.306-312, 1998-05-15 (Released:2008-01-31)
参考文献数
24
被引用文献数
24 41

カキ属(Diospyros)のカルスを用いてゲノムサイズおよび倍数性を決定した.カキ(D. kaki Thunb.)9品種およびカキ以外の12種のカキ属(Diospyros)植物の葉原基由来カルスの核DNA含量をフローサイトメーターを用いて測定した.核DNA含量が既知のニワトリ赤血球およびタバコと比較することで6倍体のカキ品種のゲノムサイズは5.00-5.24 pg/2Cであり, 9倍体品種は7.51-8.12 pg/2Cであることが明らかとなった.また6倍体のD. virginianaのゲノムサイズは5.12 pg/2Cであり, 4倍体のD. rhombifoliaは3.76 pg/2Cであった.他の2倍体の種のゲノムサイズはD. montanaを除いて1.57-2.31pg/2Cであった.D. montanaは2倍体であるが, そのゲノムサイズは4倍体と同程度の3.48 pg/2Cであった.D. montanaを除くカキ属植物の倍数性とゲノムサイズの間には強い一次相関が認められ, ゲノムサイズより倍数性の推定が可能であるものと考えられた.本研究ではカルス細胞を用いた染色体観察法も検討し, カキ'宮崎無核'の染色体数は2n=9x=135, '次郎'とD. virginianaの染色体数は2n=6x=90, D. rhombifoliaは2n=4x=60, その他のカキ属植物の染色体数は, 倍数性が未知の4種を含めて2n=2x=30の2倍体であることを示した.この倍数性は, D. montanaを除いてフローサイトメトリーから推定した倍数性と一致した.
著者
宇都宮 直樹 円光 豊 高津 弘幸 助川 直伸
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.21, pp.37-42, 2000-02-24
参考文献数
5

バリア同期機構を使用したSR8000特有の並列アプリケーションプログラムをマルチプログラミング環境で効率的にサポートするギャングスケジューラを実装し、実アプリケーションプログラムによる性能測定を実施した。特に、空間分割と時分割を混合した新たなスケジューリング方法を提案・実装し、性能評価の結果、有効性を示すことができた。The gang scheduler is implemented to support high-performance execution of SR8000 parallel application programs. The new scheduling policy with both benefits of space slicing and time slicing is presented and evaluated. It is shown that the new policy can amortize the additional performance penalty with the help of user-level hints and further improvement.
著者
久保田 尚浩 小合 龍夫 宇都宮 直樹
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.99-110, 1992-06-01
被引用文献数
1

東南アジア, 特にインドネシアの農村に広く分布するホームガーデンの構造及びそこでの植物利用の実態を明らかにするため, 雨季にジャワ島各地で11のホームガーデンについてその面積, 標高及び用途別の有用植物の種類数を調査した.ホームガーデンの面積及び植物の種類数は各々500〜3200m^2,24〜76種と園によって大きく異なったが, これらに地域間での大きな差は認められなかった.園が大きいほど植物の種類数もやや多い傾向があった.各園とも, 果樹を始めとして野菜, デンプン作物, 観賞植物など用途の異なる種々の植物が存在したが, 果樹と観賞植物の占める割合が著しく高かった.用途別の植物の種類数は果樹36,野菜25,デンプン作物12,香辛料植物13,薬用植物14,工芸作物8,観賞植物79及びこれら以外のその他の植物(建築用や燃料用の樹木などを含む)31の合計218であった.このうち, 果樹, 野菜, デンプン作物などは多くの園にみられたが, 工芸作物, 薬用植物, 観賞植物及びその他の植物は調査した園のうち1園だけにしかみられないものが半数以上を占めた.以上のように, ジャワ島には植物の種類数が少ないものから多いものまで, 種々の様式のホームガーデンが存在したが, その地域性を明らかにすることはできなかった.
著者
堀川 勇次 佐々木 勝昭 宇都宮 直樹
出版者
近畿大学農学部
雑誌
近畿大学農学部紀要 = Memoirs of the Faculty of Agriculture of Kinki University (ISSN:04538889)
巻号頁・発行日
no.38, pp.19-30, 2005-03 (Released:2011-03-05)

近年、日本でもマンゴーのハウス栽培が盛んになりつつあるが、その害虫や訪花昆虫についてはあまり調べられていない。そこで、本研究ではマンゴーハウスに出現する害虫、訪花昆虫を調べ、効果的な防除法と受粉法について検討した。以下3種類の調査を近畿大学附属湯浅農場の2つの温室で行った。訪花昆虫調査では、全部で6目27科40種以上の訪花昆虫が確認された。中でも個体数が最も多かった昆虫は双翅目であった。本農場では受粉効率を上げるためセイヨウミツバチを放飼しているが、着果率はあまり良くない。今後、さらなる着果率向上を目指しミツバチと双翅目の併用を検討する必要があると考えられた。アザミウマ等の害虫調査では、粘着テープを温室内に設置し、付着した昆虫を調べた。その結果、7目21科26種以上が確認された。中でも重要害虫のアザミウマはチャノキイロアザミウマが最も多かった。また、アザミウマの捕獲個体密度は農薬散布区よりも無農薬区の方が圧倒的に多かった。被害果実も無農薬区では非常に多くなり、農薬散布は現在のところ不可欠であると思われた。吸蛾類調査では、全部で9科34種以上の蛾の温室への飛来が確認された。その中で口吻を果実に突き刺し果汁を吸っているところが確認された蛾はヤガ科の3種であった。これらヤガ科による果実への被害を未然に防ぐ必要があると思われた。
著者
文室 政彦 宇都宮 直樹
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.68, no.6, pp.1146-1148, 1999-11-15
被引用文献数
4 4

加温ハウス内において根域制限ベッドに植栽した7年生カキ'刀根早生'を供試し, 地中加温が新梢生長と果実発育に及ぼす影響を検討した.1月12日から4月15日まで, 地中に埋設したパイプに温湯を循環させて地温を20℃に維持する区と無処理区を設けた.地中加温は発芽および開花期にはわずかな影響しか及ぼさなかったが, 新梢生長および果実の成熟を促進し, 可溶性固形物含量を増加させた.しかし, 果実の結実率と肥大生長は地中加温によって低下し, 減収した.