著者
堀木 裕司
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 第54回日本農村医学会学術総会 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
pp.132, 2005 (Released:2005-11-22)

JA三重厚生連では、従来紙によりヒヤリ・ハット情報を収集してきた。その後、表計算ソフトを利用して集計を行ってきたが、病院全体で情報を収集し、データを利用するにはかなりな手間を要し、分析も出来ていなかった。厚生労働省より特定医療機関に対し、リスク情報の提出が義務付けられ、提出様式やコードについての定義付けがなされた。当会においても、将来この報告書様式に対応するためと、病院内で収集されたデータを分析するため、Webシステムを用いてリスク管理システムを作成することになった。 Webシステムを用いることにより、入力が容易になり、データを収集しやすくなった。またこれらのデータがデータベース化されるため、後利用が可能になったので、その事例を紹介する。平成16夏、病院見学にてリスクレポートシステムが有効に運用されているのを知り、当会にても構築をしていく必要にせまられた。メーカからもリスク管理システムは販売されているが、当会7病院に導入するにはかなり高額になること、当会の求めるものとは方向を異にすることより、自前での開発を行なうことになった。構築には、当会にて構想を練り、プロトタイプを作成し、各病院に試験的に配布し、その後3か月程度の試用期間を経て、平成17年4月より本格運用を開始している。導入当初は、サーバの設定より入力途中のデータが消えてしまう等のトラブルもあったが、一つ一つ問題を解決し、看護師からのクレームも殆ど出なくなった。運用としては、看護師長が入力するようになっているが、いずれ発見者が自由に入力する形となっている。緊急性を要する情報に関しては、メールシステムを利用して、安全管理室や院長等に情報が飛ぶようになっている。内容の評価については、入力された情報を、上長や部長が閲覧し、評価や対策のコメントを記入出来るようになっている。分析に関しては、各項目にて分析したり、Excelに出力することが可能となっている。その他、セキュリティに関しては、IDとパスワードにて他部門の閲覧を出来ないようにしている。またIPアドレスにてアクセス制限を行っている。このように、安全管理システムにSEが積極的に関わることにより、使いやすいシステムを構築できるとともに、比較的安価にシステムを導入できた。今後は、このシステムの不備な点を随時改良し、リスクの要因を排除していくことに努めていきたい。