著者
加藤秀一 堀江 憲一 小川 克彦 木村 重良
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.61-69, 1995-01-15
参考文献数
12
被引用文献数
6

コンピュータシステムの使いやすさや分かりやすさ(ユーザビリティ)を、誰もが客観的に手軽に評価できるHI(ヒューマンインタフェース)設計チェックリストを開発しその有用性を検証した。本チェックリストは、(1)専門家でなくとも便いこなせ、(2)信頼性・客観性の高い定量的な結果が得られ、さらに、(3)実際に、改善にまで直結できること、を主な目的に開発された。合計133のチェック項目により、画面(9セクション、69項目)と操作性(7セクション、64項目)がチェックできる。チェック緒果は、先に開発したHI設計ガイドラインヘの適合度を表わす定量的な値で得られ、チェック項目やセクション間のバランス評価、他システムとの比較評価ができる。一方、本HI設計チェックリスト自身のユーザビリティを検証するため、4名の被験者の、半年間こわたるチェックデータやチェック時間を分析した結果から、チェックリストの末経験者でも、インタフェースの不適合な箇所を、客観的かつ網羅的に、短時間で検出できることを確認した。また、HI設計チェックリストで、運用/開発中のコンピュータシステムのユーザビリティを評価した結果から、HI設計時に見落とされやすい(守られない)ガイドライン項目や、レビュー時に重点的にチェックすべき項目を抽出できた。これらのユーザビリティ評価を通して、HI設計チェックリストの有用性が検証できたと考えている。