著者
堀田 隆一
出版者
中央大学人文科学研究所
雑誌
人文研紀要 (ISSN:02873877)
巻号頁・発行日
no.81, pp.293-319, 2015

本稿の目的は,言語変化研究における多種多様な視点を5W1H の切り口で整理し,概観することである。近年の言語変化研究は,共時言語学と通時言語学の知見の蓄積を取り込みながら発展し,多様化してきたが,一方で多様性ゆえに全体像を概観することが困難となっている。本稿では,まず言語変化研究において基礎となる概念を導入した後,これまでに提案されてきた3 つの言語変化モデルを紹介する。続いて,言語変化の様々な視点を「いつ」「どこで」「だれ」「なに」「どのように」「なぜ」という切り口にしたがって整理し,それらを一望できる形で概括する。言語変化研究に体系的な着眼点を与えることにより,本稿が今後の研究の発展に資する一参照点となることを期待する。
著者
堀田 隆一
出版者
中央大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2007

英語の名詞複数形の-sが現代英語にみられるように圧倒的に優勢となる傾向が現れたのは,初期中英語期(1100~1300年)である.本研究では,電子コーパスや語彙拡散理論を援用しながら,なぜ(WHY)どのようにして(HOW)この時期に-sの拡大が進行したかを明らかにしようとした.結論として,初期中英語期における名詞複数形態の発展は,種々の言語内的・外的要因により,およそ語彙拡散理論が予想する型に従って進行したことが判明した.