著者
堂本 信彦
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.714-718, 2002-09-15
被引用文献数
1 2

オキアミ類は全世界に広く分布しているエビ様の動物プランクトンで、甲殻鋼、軟甲亜鋼、オキアミ目に属し、現在2科11属85種が知られている。その中で、利用上特に重要なのは、南極海に生息するナンキョクオキアミである。ナンキョクオキアミは、体長5cm以上になる大型プランクトンで、外観は桜エビに類似して、肉色はややピンクがかった白色である。その一般化学成分に関しては多数の報告がある。漁獲された海域、時期、雌雄、および成熟度合等により測定値は大きく変動しているが、水分76~83%、粗タンパク質11~15%、粗脂肪1~8%、灰分2~4%、キチン0.5%と報告されている。図1にナンキョクオキアミの主要成分の季節変化を示した。12月から8月にかけて、水分の減少、脂質の増加がみられ、特に、粗脂肪は変動幅が大きく、通常は1~4%であるが、約10%を示すものもある。ここで、ナンキョクオキアミ研究について触れてみる。日本におけるナンキョクオキアミの本格的な資源開発研究は1972年の水産資源開発センターによる資源調査と漁獲方法の開発が始まりである。
著者
堂本 信彦 王 鏗智 森 徹 木村 郁夫 郡山 剛 阿部 宏喜
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.67, no.6, pp.1103-1109, 2001-11-15
参考文献数
36
被引用文献数
12 13

ホキ, ミナミマグロ, ヤリイカをミンチし, 加熱殺菌後, 麹菌, 食塩, 水, 乳酸菌を添加しもろみを調製した。発酵中に酵母を添加し, 発酵調味料(魚醤油)を製造し, 6ヵ月間の熟成中の成分変化および最終品の品質について検討した。新規発酵調味料のpHは4.8∿5.0と穀醤油に近く, 全窒素分は1.78∿1.86%と従来の魚醤油(ニョク・マム)に近い値となった。また, 遊離アミノ酸ではグルタミン酸, アラニン, ロイシン, リシンの量が多かった。官能評価の結果, ニョク・マムを対照とした不快臭の強さは3種の試料すべてで低く, 従来の魚醤油の臭いが軽減された発酵調味料が得られた。また, 味の面では塩かどがなく, まろやかなことが特徴であった。