著者
木村 郁夫
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.134, no.10, pp.1037-1042, 2014-10-01 (Released:2014-10-01)
参考文献数
19
被引用文献数
10 28

Food intake regulates energy balance, and its dysregulation leads to metabolic disorders such as obesity and diabetes. Free fatty acids are not only essential nutrients but also act as signaling molecules in various cellular processes. Recent studies have shown that the receptors GPR40, GPR41, GPR43, and GPR120 are new drug targets for treating metabolic disorders because they are activated by free fatty acids. Two of these receptors, GPR41 and GPR43, are activated by short-chain fatty acids (SCFAs: acetate, propionate, and butyrate), which are important energy sources for the host. During feeding, SCFAs are produced by the microbial fermentation of dietary fiber in the gut. The gut microbiota affect nutrient acquisition and energy regulation of the host, and can influence the development of obesity, insulin resistance, and diabetes. Hence, GPR41 and GPR43 are also a focus of research into energy regulation via SCFAs. We report that these SCFA receptors are involved in energy homeostasis: GPR41 regulates sympathetic activity, and GPR43 regulates adipose-insulin signaling by sensing SCFAs produced by gut microbiota. We believe that these results will provide valuable insight into therapeutic targets for treating metabolic disorders and diabetes, as well as in the use of probiotics to control gut microbiota.
著者
井ノ原 康太 尾上 由季乃 木村 郁夫
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.81, no.3, pp.456-464, 2015 (Released:2015-06-05)
参考文献数
26
被引用文献数
6 4

マグロ等の普通肉やブリ類,白身魚等の血合肉の鮮赤色はこれら刺身の重要な品質要素であり,色素タンパク質ミオグロビン(Mb)のメト化率は品質を表す重要な指標である。本研究では,マサバ,ゴマサバ,ブリ,マダイ,ミナミマグロの精製 Mb からデオキシ Mb,オキシ Mb,メト Mb を調製し,これらの可視部吸収スペクトルから 3 状態 Mb の等吸収点の波長(523-525 nm)と deoxyMb と oxyMb の等吸収点の波長(547-549 nm)を明らかにし,メト化率測定法を確立した。
著者
木村 郁夫 畑野 泰子 長谷川 沙恵
出版者
日本脂質栄養学会
雑誌
脂質栄養学 (ISSN:13434594)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.33-40, 2015 (Released:2015-05-01)
参考文献数
18

Gut microbiota affects not only host immune system but also host nutrient acquisition and energy regulation, and thereby influencing the development of obesity and diabetes. Short-chain fatty acids (SCFAs), produced by the gut microbial fermentation of dietary fiber, are essential host energy sources and signal molecules via G-protein coupled receptor GPR41 and GPR43. We report that these SCFAs receptors are involved in host energy homeostasis, GPR41 regulates sympathetic activity, and GPR43 regulates adipose-insulin signaling by sensing SCFAs. These results indicate that gut microbial metabolites regulate host homeostasis via novel molecular signal mechanism.
著者
木村 郁夫
出版者
マテリアルライフ学会
雑誌
マテリアルライフ (ISSN:09153594)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.45-51, 1993-07-20 (Released:2011-04-19)
参考文献数
24
被引用文献数
1
著者
保 聖子 杉田 毅 鶴田 和弘 福田 裕 木村 郁夫
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.78, no.3, pp.454-460, 2012 (Released:2012-06-15)
参考文献数
26
被引用文献数
2 7

蓄養サバ流通品を調査した結果,氷蔵 9 h 後でも筋肉の ATP 濃度は高く維持され高品質を示した。そこで,まき網で漁獲されたゴマサバを短期蓄養した場合の品質に与える影響を検討するため,漁獲ストレスの影響とその回復について検証した。生け簀で 20 分間の強制運動をさせた後,72 h 蓄養し,体内代謝変化を測定した。強制運動により血漿コルチゾル濃度や筋肉乳酸濃度は上昇するが,蓄養により低下し,肝臓グリコーゲン濃度も回復した。一方,筋肉 ATP 濃度は,強制運動直後でも高い値を示し,蓄養による変化は認められなかった。
著者
保 聖子 藤田 聡 緒方 由美 木村 郁夫
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.84, no.1, pp.103-110, 2018 (Released:2018-01-19)
参考文献数
14
被引用文献数
1

シラス(イワシ類稚仔魚)の冷蔵保存中に発生する自己消化について,魚体プロテアーゼ活性の経時変化やプロテアーゼの種類および漁獲時の魚体にかかる圧の影響を測定した。モデル試験で魚体に圧力を加えると冷蔵保存中の自己消化が促進した。また,冷蔵保存中には保存温度に依存してプロテアーゼ活性の上昇がみられ,その原因としてセリンプロテアーゼ(主にキモトリプシン)の酵素活性値が高くなることをプロテアーゼ阻害スペクトルから明らかにした。卵白はシラス魚体溶解の原因プロテアーゼに対して強い阻害効果を示した。
著者
緒方 由美 進藤 穣 木村 郁夫
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.78, no.3, pp.461-467, 2012 (Released:2012-06-15)
参考文献数
19
被引用文献数
5 15

高鮮度水産物を凍結処理した場合,その品質は非常に良い状態で保たれる。しかしながら,高鮮度水産物で凍結耐性が高いことに関する科学的な研究はほとんど行われていない。本研究では高鮮度魚肉中に存在する ATP に着目し,ATP の筋肉タンパク質冷凍変性に及ぼす作用について検討した。ATP 濃度を維持できる筋原線維溶液モデル系を構築し,各濃度の ATP 存在下での冷凍変性速度を測定した結果,ATP による筋原線維タンパク質の冷凍変性抑制効果を確認した。その効果は,ATP 濃度と凍結貯蔵温度に依存し魚種差を示した。
著者
木村 郁夫
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.50, no.9, pp.867-871, 2014 (Released:2016-09-17)
参考文献数
27

創薬ターゲットの大半を占めるGタンパク質共役型受容体(G protein-coupled receptor:GPCR)はこれまで広く注目されてきた.その中でも特に,その重要な生理機能から脂肪酸受容体の研究は,近年大きく進展している.例えば最近,この脂肪酸受容体のうちのGPR120がヒトの肥満の原因遺伝子であり,その一塩基変異が肥満と密接に結びつくことが明らかになっている.このことを含め,現在,機能解析が行われている各種脂肪酸受容体について,我々の研究成果を含めた最近の知見と糖尿病や肥満などに代表される生活習慣病の創薬ターゲットとしての展望も含めて概説する.
著者
堂本 信彦 王 鏗智 森 徹 木村 郁夫 郡山 剛 阿部 宏喜
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.67, no.6, pp.1103-1109, 2001-11-15
参考文献数
36
被引用文献数
12 13

ホキ, ミナミマグロ, ヤリイカをミンチし, 加熱殺菌後, 麹菌, 食塩, 水, 乳酸菌を添加しもろみを調製した。発酵中に酵母を添加し, 発酵調味料(魚醤油)を製造し, 6ヵ月間の熟成中の成分変化および最終品の品質について検討した。新規発酵調味料のpHは4.8∿5.0と穀醤油に近く, 全窒素分は1.78∿1.86%と従来の魚醤油(ニョク・マム)に近い値となった。また, 遊離アミノ酸ではグルタミン酸, アラニン, ロイシン, リシンの量が多かった。官能評価の結果, ニョク・マムを対照とした不快臭の強さは3種の試料すべてで低く, 従来の魚醤油の臭いが軽減された発酵調味料が得られた。また, 味の面では塩かどがなく, まろやかなことが特徴であった。
著者
関 伸夫 宇野 秀樹 李 南赫 木村 郁夫 豊田 恭平 藤田 孝夫 新井 健一
出版者
日本水産學會
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.125-132, 1990
被引用文献数
39 152

When carp myosin B was incubated at 25°C, SDS-PAGE showed that an addition of a soluble extract from Alaska pollack muscle and surimi greatly stimulated the cross-linking reac-tion of myosin heavy chains. This effect was completely lost on boiling but not with dialysis, suggesting the presence of an active enzyme, transglutaminase, in the extract. It was, therefore, purified from Alaska pollack muscle by DEAE-cellulose chromatography and Sephadex G-200 gel filtration.<br> The partially purified enzyme catalyzed the cross-linking reaction of myosin heavy chain and also showed an activity to incorporate a fluorescent amine, monodansylcadaverine, into acety-lated casein. SDS-PAGE analysis of carp myosin B incubated with the enzyme in the presence of monodansylcadaverine showed several fluorescent bands, including myosin heavy chain and its polymers, with a depletion of fluorescence on actin, tropomyosin and connectin bands. The transglutaminase activity was found at a molecular weight of about 85, 000 by the gel filtration and required Ca<sup>2+</sup>.<br> From these results, the presence of transglutaminase was ascertained in Alaska pollack muscle and surimi. The setting of the salted paste of muscle or surimi may thus involve at least the enzymatic process in gel network formation.
著者
辻本 豪三 平澤 明 木村 郁夫 奥野 恭史 輿水 崇鏡 足達 哲也 寺澤 和哉
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2007

研究対象(各種がん株化細胞)に対する包括的トランスクリプトーム解析による疾患・治療関連のcRNA/ncRNA群の抽出、それらのネットワーク解析に基づく機能予測、細胞レベルにおける遺伝子発現調節の検証と生物機能学的効果の同定、更にこれらを統合する新たな生命制御機構の発見を目的とする。平成22年度は(1)cRNA/ncRNA包括的トランスクリプトーム解析:昨年度までに構造決定した約2,000種のncRNAに関して、通常のマイクロアレイDNAチップでは検出感度の問題から、低発現量のcRNA/ncRNA群に関してはその量的変化が正確にモニター出来ない可能性があることから、企業と共同研究開発した超高感度DNAチップをプラットフォームに用いて、主としてncRNA,それらの機能対象候補cRNAの量的変化をモニターする新たなチップ解析用ツール開発技術を用いてオリゴDNA合成により相補的プローブを合成してDNAチップに固相化し、miRNAを含む包括的トランスクリプトーム解析チップを作製した。このチップと従来型のチップの機能に関しての比較検証を行った。(2)解析の対象:対象としては、疾患関連cRNA/ncRNA群の解析実験には、各種患者検体より株化された食道がん細胞や乳がん細胞を用い、細胞増殖と各種抗がん剤による作用の経時変化と同時に採取された組織から抽出されるRNAの包括的トランスクリプトーム解析用DNAチップによる発現プロファイル解析を行い、更に各種薬物治療によりこれらの遺伝子群がどのような発現変動を行うかを経時的にモニターし、個体における発現型変動(生理、生化学パラメーター)との相関を一部解析した。食道がんよりバイオマーカー候補を同定し、知財化した。