著者
堺 恵
出版者
一般社団法人日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.14-29, 2015-02-28

本研究の目的は,児童扶養手当制度の成立過程における制度創設の経緯について考察することである.1959年から1961年までの国会審理および新聞報道の内容を分析したところ,児童扶養手当制度には,母子福祉年金の補完的制度として,かつ児童手当創設の先行制度として創設されたという経緯のあることがわかった.そして児童扶養手当制度の創設に至った社会的背景には,次の3点があることがわかった.1点目は,全国未亡人団体協議会が生別母子世帯への年金支給を求めていたことである.2点目は,母子福祉年金の予算が,厚生省の推計のミスにより大幅に余ったことである.3点目は,児童手当制度創設が当時の政策課題であったことである.また,『全国母子世帯調査結果報告書』で報告された収入に関する調査項目とその実施状況をみると,児童扶養手当制度の創設当時,生別母子世帯の生活実態に関する十分な分析を欠いたまま,制度が創設されていたということも確認できた.
著者
北 宜裕 小堺 恵 河田 隆弘 北浦 健生 窪田 一豊
出版者
神奈川県農業技術センター
巻号頁・発行日
no.153, pp.17-22, 2010 (Released:2012-12-06)

夏作ホウレンソウ栽培において,ホウレンソウの生育及び収量を最適化できる土壌消毒のための熱水処理量について,0~200L・m-2の範囲で検討した.その結果,深さ15cmの土壌の最高温度は,100・m-2以上の処理区では熱水処理後3時間で87℃以上に達し,その後,Fusarium属菌の致死温度である55℃以上の地温の持続時間も6時間以上確保された.熱水処理後の土壌中のFusarium属菌数は,上層及び下層ともに50L処理区では低密度で残存していたが,それ以外の処理区では全く検出されなかった.発病度は100~150L処理区が最も低い値を示した.収量性は発病度を反映し,発病度が最も低かった100L処理区で最も収量が多くなった.以上の結果から,ホウレンソウ栽培では,実用レベルでの土壌病害防除効果があり,高い収量性が確保できる最適熱水処理量は100L・m-2であることが明らかになった.