著者
牧野内 猛 加藤 麻衣 大石 康雄 塚本 将康 武邑 圭司 大島 武 杉浦 武
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.117, no.2, pp.79-94, 2011 (Released:2011-06-02)
参考文献数
19
被引用文献数
1

安城市の地形は,碧海層からなる碧海台地と,その東側の矢作川低地,南西側の油ヶ淵低地に分けられる.市域の地下は,沖積層,碧海層,挙母層,東海層群などによって構成される.沖積層の海成粘土を堆積させた縄文海進は,台地に刻まれた細長い谷の中流部にまで達している.碧海層は,上半部が砂層,下半部は海成粘土層からなり,層厚16~36m,北東部で薄く南西部で厚い.下半部の海成粘土層は三角州の底置層,上半部の砂層は前置層で,海成粘土層を堆積させた海進は,南西の衣浦湾から浸入し,市域の西半部に広がった.碧海層の年代は,下半部の海成粘土層が120~95ka,上半部が95~70kaと推定される.挙母層は,その上部が砂礫層をはさむ砂泥互層からなり,固結度は碧海層よりかなり高い.挙母層の基底は,市域南西縁で標高-100m付近にあり,北東に向かって浅くなり,北東端部では-25m付近にある.東海層群は主として固結した砂泥互層である.西三河平野における地下地質の枠組みを,現時点における試案として提示した.