著者
塚本 康太 辻 和希
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.193-201, 2016 (Released:2017-07-17)
参考文献数
25

沖縄島に生息するクロイワボタルLuciola kuroiwaeとオキナワスジボタルCurtos okinawanusの2種を対象に、活動成虫数の季節消長と日消長を、2013-2014年に那覇市末吉公園の林内で調べた。季節消長に関しては、クロイワボタルは年1回、4月下旬から5月中旬に活動のピークが見られた。それに対してオキナワスジボタルは年2回、5~6月に加えて、9~10月に活動のピークが見られた。日消長に関しては、両種とも多くの地点において日没直後が活動のピークであったが、クロイワボタルにおいては街灯がある地点で深夜帯に活動のピークが観察された。そこでは、街灯が点灯していた2013年には消灯直後の深夜帯に活動のピークが見られたが、街灯が点灯されなかった2014年は日没直後に活動のピークが見られた。これらのことから、深夜帯に観察されたクロイワボタルの活動は人工光の影響によって活動時間帯が遅れたものであると考えられる。