著者
田爪 正氣 糠信 憲明 築地 真実 佐々木 和歌子 芝川 敬美 塚本 祥子 尾添 聡美 潮田 恵子 田口 友美
出版者
東海大学
雑誌
東海大学健康科学部紀要 (ISSN:13474162)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.69-72, 1999

院内感染の発生を防ぐためには感染経路の遮断が重要である。そこで感染経路の1つとして洋式トイレを取り上げ、病院外来待合い室にある洋式トイレの便座上における細菌学的汚染調査を行ってメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の検出を試みた。1)洋式トイレの便座上における付着総菌数の多少は、使用者の清潔意識や業者による掃除が関与していると推察できる。2)トイレを使用する前に便座上をトイレットペーパーで拭くことは付着総菌数を減少させ、清潔にする効果が認められた。3)外来待合い室の洋式トイレにおける便座上から分離された黄色ブドウ球菌136集落から、MRSAが14集落(10.3%)検出された。不特定多数の人が間接的に皮膚を接触させる外来トイレの便座は院内感染源の1要因としてあげることができる。易感染状態にある患者が院内にある洋式トイレの便座から感染する危険性もあり、清掃業者へ院内感染防止に関わる教育を施す必要性が認められた。