著者
新實 夕香理 塚田 トキヱ 神郡 博
出版者
富山大学
雑誌
富山医科薬科大学看護学会誌 (ISSN:13441434)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.71-86, 1999-03
被引用文献数
2

妊娠各期における不安の反応と程度およびその変化を明らかにし, 妊娠中の保健指導の受講状況と不安との関連を明らかにすることを目的に, 各期に合わせた保健指導のあり方を検討した.妊婦146名の各期における追跡調査より, 以下のことが見出された.1.一般不安と母性不安は正の相関を示し, 初期が高く, 妊娠の経過と伴に低くなった.2.母性不安は初期に高く, 初産婦に強く見られた.3.一般不安, 母性不安ともに30代後半以上の妊婦に強く見られた.4.初産, 経産に関わらず, ほとんどの妊婦は保健指導を受けていたが, 初期に受けている妊婦はわずかであった.5.妊娠初期の指導を強化するには, 妊娠と診断された時から個人指導を受けることを勧め, また相談窓口の存在を知らせる必要性があった.
著者
堀井 満恵 石田 真由美 長谷川 ともみ 塚田 トキヱ
出版者
富山大学
雑誌
富山医科薬科大学看護学会誌 (ISSN:13441434)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.89-96, 1998-03

母乳哺育は児の成長ばかりでなく, 母と子の絆(attachment)の形成に重要な要素であると言われている1).本研究はこの母乳哺育の意義を念頭におきながら, 母乳栄養の確立, その援助・指導のための効果的基礎資料を得たく, 59名の妊婦を対象に妊娠の経過に伴って変化する乳房の形態とその増大状況, 並びに超音波画像による乳房内変化を追跡し, これらのデーターを基に母乳分泌との関連について分析・検討した.その結果, 1.乳房は妊娠12週前後に一度急激に発育し, 中期には殆ど変化が見られず, 妊娠24週を過ぎると著しく増大する.2.乳房の形態のみでは乳汁分泌の良否は判断できない.3.超音波画像は, 乳腺発達の程度が診断でき, 泌乳良否の予測が可能である.などが明らかとなった.このことから妊娠中の母親教育に際して乳房の外計測や超音波画像による乳房内の状況を個別に提示でき, 母乳哺育促進への動機づけに有用である, などが示唆された.