- 著者
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高橋 千里
池田 史子
坂庭 敦子
塚田 貴大
大平 陽子
岸 章治
石田 香代子
高山 秀男
- 出版者
- 公益社団法人 日本視能訓練士協会
- 雑誌
- 日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
- 巻号頁・発行日
- vol.38, pp.139-143, 2009 (Released:2010-03-25)
- 参考文献数
- 9
目的:恒常性外斜視に対し、プリズム眼鏡による眼位矯正に視能訓練を併用し、両眼視機能の獲得と斜視角の減少を示す、良好な経過を得た2症例を報告する。症例:症例1:2歳女児。生後6ヵ月で外斜視を発症し、近医を経て受診した。初診時45△の外斜視で、輻湊はできず、恒常性外斜視と診断した。母親が手術を希望しなかったため、プリズム眼鏡による光学的矯正と輻湊訓練を開始した。眼位にあわせてプリズムを減量し、治療開始5年後、7歳の時点で14△基底内方のプリズム眼鏡で斜位を保っている。両眼視機能は融像まで確認できた。症例2:1歳5ヵ月男児。生後6ヵ月位から左眼が外斜視になることに母親が気付き受診した。初診時、近見40△の左眼外斜視で、屈折は右眼-5.0D、左眼-10.0Dであった。左眼は豹紋状眼底を呈していた。プリズム眼鏡による光学的矯正および、遮閉訓練と輻湊訓練を開始した。眼位に合わせてプリズムを減量した。治療開始後5年(6歳)、屈折矯正眼鏡のみで近見4△の外斜位となり、両眼視機能はTitmus stereo testsにて100秒であった。結論:恒常性外斜視に対してプリズム眼鏡による光学的治療に視能訓練を併用することで、両眼視機能の獲得と斜視角の減少を示す症例を経験した。恒常性外斜視に対しても、プリズム治療は有用と考えられた。