著者
佐藤 香代子 前原 陽子 北原 園子 小林 美紀 江原 裕子 前田 陽子 磯野 博明 高山 秀男
出版者
JAPANESE ASSOCIATION OF CERTIFIED ORTHOPTISTS
雑誌
Japanese orthoptic journal (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.277-284, 2001-11-30
被引用文献数
1

適応範囲外とされる間歇性外斜視の症例に対し、金谷法に基づく視能訓練を行なった。症例は2例で、症例1は、7才で手術希望のない、斜視角35Δの外斜視で、症例2は、生後6ヶ月で内斜視が発症し、初診時は5才で斜視角30Δ内斜視と交代性上斜位、対応異常がある症例であった。Anomalous Retinal Correspondenceに対する訓練で、正常対応化し、カイロスコープで経過観察中、近見14Δ遠見8Δの間歇性外斜視へ移行した後に行なったものである。訓練方法は、1987年に金谷らの報告した方法に基づき、Red filterを使用した抑制除去訓練、Jump convergence、 Red filterを使用した輻湊近点訓練、赤・青鉛筆による生理的複視認知訓練、Framing card、 3点カード、ステレオカードによる輻湊訓練、Base out prismによる後退法の順に行なった。結果、症例1は、10Δのプリズム眼鏡で斜視角を減らして、訓練を開始し15ヵ月後に外斜位化した。症例2は、訓練開始13ヵ月後に外斜視化した。金谷法は、大角度の間歇性外斜視でも、プリズム眼鏡により、適応範囲内にもちこむことで、また両眼視機能の弱い症例でも、両眼視機能が潜在していれば、効果が出るのに時間がかかるが、有効であると考えられた。
著者
高橋 千里 池田 史子 坂庭 敦子 塚田 貴大 大平 陽子 岸 章治 石田 香代子 高山 秀男
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.139-143, 2009 (Released:2010-03-25)
参考文献数
9

目的:恒常性外斜視に対し、プリズム眼鏡による眼位矯正に視能訓練を併用し、両眼視機能の獲得と斜視角の減少を示す、良好な経過を得た2症例を報告する。症例:症例1:2歳女児。生後6ヵ月で外斜視を発症し、近医を経て受診した。初診時45△の外斜視で、輻湊はできず、恒常性外斜視と診断した。母親が手術を希望しなかったため、プリズム眼鏡による光学的矯正と輻湊訓練を開始した。眼位にあわせてプリズムを減量し、治療開始5年後、7歳の時点で14△基底内方のプリズム眼鏡で斜位を保っている。両眼視機能は融像まで確認できた。症例2:1歳5ヵ月男児。生後6ヵ月位から左眼が外斜視になることに母親が気付き受診した。初診時、近見40△の左眼外斜視で、屈折は右眼-5.0D、左眼-10.0Dであった。左眼は豹紋状眼底を呈していた。プリズム眼鏡による光学的矯正および、遮閉訓練と輻湊訓練を開始した。眼位に合わせてプリズムを減量した。治療開始後5年(6歳)、屈折矯正眼鏡のみで近見4△の外斜位となり、両眼視機能はTitmus stereo testsにて100秒であった。結論:恒常性外斜視に対してプリズム眼鏡による光学的治療に視能訓練を併用することで、両眼視機能の獲得と斜視角の減少を示す症例を経験した。恒常性外斜視に対しても、プリズム治療は有用と考えられた。