- 著者
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熊谷 明子
塚越 剛史
田中 友理
蔵治 光一郎
- 出版者
- 東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林
- 雑誌
- 東京大学農学部演習林報告 (ISSN:03716007)
- 巻号頁・発行日
- no.103, pp.1-20, 2000-06
- 被引用文献数
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千葉県南部に位置する東京大学千葉演習林内の山地小集水域において渓流水の水質を降雨イベント時に観測し,流量の変動に伴う水質の変動を検討した。渓流水の流量と濃度の関係を整理した結果,分析対象とした主要溶存イオンは次のような4つのグループに分けられた。NO-3は,流量と正の相関をもつ。平水時の渓流水濃度,林内雨濃度が低いことから土壌に多く存在していると考えられる。Na+,Mg2+,Ca2+は,流量と負の相関をもつ。主に基岩の風化を起源にするために,土壌水中より渓流水中で濃度が高く,流量の増大に伴い濃度が減少したと考えられる。K+は,やや負の相関をもつが,ばらつきが大きい。林内雨,土壌水,渓流水中の濃度差が少ないために流量に対する渓流水中の濃度変動は現れなかった。Cl-,SO2-4は,降雨イベントによって異なる挙動を示す。Cl-は10月の降雨イベントにおいて,台風によって輸送された海塩の影響が現れていた。SO2-4は流量と負の相関をもつが,7月降雨イベント前のみ低い値であった。このように渓流水質の各イオン変動特性の違いは各イオンの流出経路やその特性を反映していると考えられる。In order to examine the relation between the stream discharge and water quality of small mountainous watershed, we intensively sampled the forest stream water during and after several rain events. This study was conducted in the University Forest in Chiba, the University of Tokyo in the south of Chiba prefecture. The effects of rapid stream discharge increase on the ion concentrations was devided into four groups. NO-3 increases in concentration. Na+, Mg2+ and Ca2+ were diluted. K+ showed no much significant correlation with discharge. Cl- and SO2-4 showed different responses depend on rain events. This results suggest that the differences between groups reflect the different distribution of sources and generation processes of the ions.