著者
松岡 洋子 塩川 美絵
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.311-314, 1990-08-20
被引用文献数
1 2

黒大豆の水浸漬の際に加えた食塩と鉄粉が、加熱後の煮豆の硬さや色に与える影響について調べた。浸漬水の食塩濃度は0.8%と2.0%としたが、2.0%食塩水に浸漬した場合は、加熱直前に加水し、両者の加熱時の食塩濃度と鉄粉含有量を同一にして煮豆を調製し、さらに水浸漬加熱の煮豆も試料として加え、これらの性状について比較検討した。1.浸漬水の食塩濃度は煮豆の硬さに有意に影響をおよぼし、2.0%食塩水浸漬煮豆が最も軟らかいことが認められた。2.煮豆の総ペクチンは2.0%食塩水浸漬煮豆に多かった。ペクチン質の分別定量では、水溶性ペクチンは、2.0%食塩水浸漬煮豆に多く、メタリン酸塩可溶性ペクチンは水浸漬煮豆に多かった。3.煮豆の表面色は、明度、彩度、色相ともに水浸漬煮豆>0.8食塩水浸漬煮豆>2.0%食塩水浸漬煮豆の順に測定値が低下し、2.0%食塩水浸漬煮豆が最も黒色を呈した。4.黒大豆に対し、0.4%の鉄粉を加え0〜10%食塩水に浸漬後、その1.5倍の水を加えて加熱した煮豆の鉄含有量は、浸漬水の食塩濃度0.5〜2.0%の煮豆では食塩濃度が高くなるとともに鉄含有量が増加した。