著者
原 耕平 塩澤 恒雄 河野 茂 門田 淳一 白井 亮 川上 かおる 飯田 桂子
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.72, no.6, pp.569-574, 1998-06-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
26
被引用文献数
4 2

近年compromisedhostにおける日和見感染の実態が次第に明らかにされ, それらの感染症に対する治療の指針が述べられている.これらcompromisedhostにおける感染症の研究については数多くの成績が発表されているが, これらの病態における感染の発症が, 宿主の免疫能や栄養状態とどのようにかかわり合っているかを追求したものは極めて少ない.私達が行った成績では, 肺癌, 肝癌, 腎不全などの患者において, これら患者の免疫能は栄養状態によって影響をうけ, 栄養が不良になると免疫能の低下も著明になることが確かめられた.すでに手術を施行した患者においては, 術前に栄養の評価が行われ, その改善のための対策を講ずることによって予後を改善せしめようとの努力がなされているが, 多くの疾患においても, 宿主の栄養状態の管理は極めて重要で, その対策が感染の併発や疾病の予後を左右する要因であることを強調したい.