著者
鳥羽 聡史 石井 寛 山形 英司 泥谷 純子 門田 淳一
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.62, no.8, pp.980-985, 2013-08-30 (Released:2017-02-10)

胸痛をともなう難治性喘息に対して非侵襲的陽圧換気(noninvasive positive pressure ventilation; NPPV)を使用し,改善を認めた2例を経験した.2例はいずれも女性で,治療ステップ4でも喘息コントロールに乏しく,胸痛によるQOL低下もきたしていた.外来で30分程度のNPPVを試行したところ症状の改善を認めたため,間欠的な在宅NPPVを導入した.NPPVは3〜5カ月間使用したが,いずれの症例も喘息コントロールの改善とともに胸痛も消失したため,NPPVを離脱した.呼吸機能については,肺活量や一秒量の変化は認めなかったものの,末梢気道狭窄の指標となるV^^・50やV^^・25が改善した.胸痛をともなう難治性喘息では,非薬物療法であるNPPVが末梢気道の気流制限を改善することで,QOL向上の一助になる可能性が示唆された.
著者
原 耕平 塩澤 恒雄 河野 茂 門田 淳一 白井 亮 川上 かおる 飯田 桂子
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.72, no.6, pp.569-574, 1998-06-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
26
被引用文献数
4 2

近年compromisedhostにおける日和見感染の実態が次第に明らかにされ, それらの感染症に対する治療の指針が述べられている.これらcompromisedhostにおける感染症の研究については数多くの成績が発表されているが, これらの病態における感染の発症が, 宿主の免疫能や栄養状態とどのようにかかわり合っているかを追求したものは極めて少ない.私達が行った成績では, 肺癌, 肝癌, 腎不全などの患者において, これら患者の免疫能は栄養状態によって影響をうけ, 栄養が不良になると免疫能の低下も著明になることが確かめられた.すでに手術を施行した患者においては, 術前に栄養の評価が行われ, その改善のための対策を講ずることによって予後を改善せしめようとの努力がなされているが, 多くの疾患においても, 宿主の栄養状態の管理は極めて重要で, その対策が感染の併発や疾病の予後を左右する要因であることを強調したい.
著者
増野 智章 重永 武彦 西山 譲幾 田中 愛 藤島 宣大 宮﨑 周也 板井 真梨子 畑 正広 門田 淳一
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.150-155, 2021

<p><b>背景.</b>レジオネラ肺炎は適切な治療がなされなければ高い死亡率を呈するため,早期診断・早期治療が重要となる疾患であるが,早期診断が困難な症例もある.<b>症例.</b>53歳,男性.発熱を主訴に近医を受診し,細菌性肺炎と診断され,セフトリアキソンが投与されたが改善がみられなかったため,当院に転院となった.抗菌療法が無効であったことと,胸部CT画像から器質化肺炎が疑われた.感染と器質化肺炎の鑑別を目的に,入院直後気管支肺胞洗浄を行ったが,入院時に尿が採取できず尿中レジオネラ抗原検査が施行できなかったため,試験的に尿中レジオネラ抗原検査を気管支肺胞洗浄液(BALF)で代用して行ったところ,陽性の結果が得られた.これによりレジオネラ肺炎が示唆され,その後の尿によるレジオネラ抗原検査でレジオネラ肺炎と診断した.速やかにレボフロキサシン,アジスロマイシンによる治療を開始し,良好な治療経過が得られ,第9病日に退院となった.<b>結論.</b>レジオネラ肺炎が疑われる症例において,尿採取が困難な場合には,尿中レジオネラ抗原検査をBALFで代用しうる可能性が示唆された.</p>
著者
時松 一成 門田 淳一
出版者
日本医真菌学会
雑誌
日本医真菌学会雑誌 = Japanese journal of medical mycology (ISSN:09164804)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.155-159, 2006-07-31
参考文献数
20
被引用文献数
1

2002年に発売開始されたミカファンギンや2005年に発売開始されたボリコナゾールは, アスペルギルス属に対して抗真菌活性を有する薬剤である. 欧米における大規模臨床試験の結果, ボリコナゾールは, アムホテリシンBに比べ, 侵襲性肺アスペルギルス症に対し優れた有効性を有し, ミカファンギンと同じキャンディン系抗真菌薬であるカプソファンギンは, 好中球減少期における発熱に対し有効性を示した.<br>このように, 今後, ますますアスペルギルス症に対する治療薬剤の選択肢は増加し, その治療方法も大きく変化すると予想される一方, 薬剤選択の多様性から生じる臨床現場の混乱を避けるため, 新たな標準的治療法の確立が望まれる.<br>本稿では, 新規抗真菌薬をめぐる問題として, non-<i>fumigatus Aspergillus</i> の中でも最近増加が懸念されている<i>Aspergillus terreus</i> 感染症に対する新規抗真菌薬の有用性と, 新規抗真菌薬使用下に発生するブレイクスルー感染について記述した.
著者
時松 一成 辛島 礼子 山形 英司 山上 由理子 永井 寛之 門田 淳一 那須 勝
出版者
日本医真菌学会
雑誌
日本医真菌学会雑誌 (ISSN:09164804)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.181-186, 2003
被引用文献数
1 10

<i>Trichosporon</i>属は易感染性宿主に発症する致死的な日和見感染症の起炎真菌の一つとして注目されている.深在性トリコスポロン症を惹起する菌種は最近の分離学的な再考の結果<i>T. asahii, T. mucoides</i>とされた.大分医科大学第二内科において過去20年間に13例の深在性トリコスポロン症を経験した.本症は抗癌化学療法を施行された血液悪性疾患患者において白血球の減少期に発症,重篤な臨床経過をとることが多い.我々は<i>T. asahii</i>と<i>T. mucoides</i>に特異性を認めるPCRプライマーを設定し,トリコスポロン症患者の保存血清を用いてPCR法を検討した結果,患者の血清中から<i>Trichosporon</i>のDNAが高率に,しかも血液培養陽性になる数日から数週前から検出されることを明らかにした.またマウスモデルにおける治療研究ではコロニー刺激因子(G-CSF)とフルコナゾールの併用療法が最も効果的であった.さらに新たなマウスモデルでの検討では,血液培養陰性にもかかわらず血清PCRが陽性を示す潜在的トリコスポロン血症ともいうべき状態が存在することが明らかになった.この時期における早期治療開始が深在性トリコスポロン症の感染制御には重要であると思われる.
著者
門田 淳一
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.11, pp.2799-2800, 2013-11-10 (Released:2014-11-10)
参考文献数
6
著者
梅木 健二 門田 淳一
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.105, no.6, pp.984-990, 2016-06-10 (Released:2017-06-10)
参考文献数
10
被引用文献数
2

市中肺炎は呼吸器感染症の中でも代表的な疾患であるが,近年の日本の超高齢社会や医療環境の変化により位置づけが変わってきている.肺炎による死亡例の約96%を65歳以上の高齢者が占めているように,高齢者肺炎や高度医療に伴う耐性菌性肺炎および日和見感染が市中肺炎といえども増加してきており,これらのリスクを有する医療・介護関連肺炎(nursing- and healthcare-associated pneumonia:NHCAP)と市中肺炎は表裏一体の関係にあり,区別が難しいことも多い.本稿では,このような肺炎の特徴を踏まえながら,市中肺炎の原因菌の動向やリスク因子などについて概説する.
著者
門田 淳一
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.284-287, 2012-12-28 (Released:2016-04-25)
参考文献数
18

2011年わが国において策定された医療・介護関連肺炎(NHCAP)診療ガイドラインでは高齢者医療の倫理的側面を含んだ治療区分という分類が導入され,抗菌薬を選択する際の基準となっている.しかし,本ガイドラインの基になった米国の医療ケア関連肺炎において「耐性菌のリスクを有するので広域抗菌薬で治療する」ことと生命予後とは関連しないことが示され,わが国においてもNHCAPを含む高齢者肺炎の予後不良因子は誤嚥性肺炎であり,抗菌薬による治療の失敗とは関連がないことが明らかとなった.すなわちこれらのガイドラインに沿った抗菌薬療法が予後改善に直結するかどうかは疑問であり,特にわが国の超高齢社会においては予防を含めた包括的な戦略が重要である.今後はNHCAP・誤嚥性肺炎に対する抗菌薬療法や胃瘻を含めた経管栄養の是非などについて,終末期医療としての側面を考えながらわが国独自のエビデンスを構築する必要がある.
著者
原 耕平 河野 茂 門田 淳一 朝野 和典 平潟 洋一 前崎 繁文 中富 昌夫 浅井 貞宏 水兼 隆介 奥野 一裕 福島 喜代康 伊藤 直美 井上 祐一 小池 隆夫 大西 勝憲 大道 光秀 山田 玄 平賀 洋明 渡辺 彰 貫和 敏博 武内 健一 新妻 一直 柳瀬 賢次 友池 仁暢 中村 秀範 加藤 修一 佐田 誠 池田 英樹 板坂 美代子 荒川 正昭 和田 光一 原口 通比古 星野 重幸 五十嵐 謙一 嶋津 芳典 近 幸吉 瀬賀 弘行 関根 理 鈴木 康稔 青木 信樹 滝沢 敬夫 兼村 俊範 竹村 尚志 長尾 光修 濱島 吉男 坂本 芳雄 坂田 憲史 豊田 丈夫 大角 光彦 小林 宏行 河合 伸 酒寄 享 杉浦 宏詩 押谷 浩 島田 馨 佐野 靖之 荒井 康男 北條 貴子 小川 忠平 柴 孝也 吉田 正樹 岡田 和久 佐藤 哲夫 古田島 太 林 泉 宍戸 春美 松本 文夫 桜井 磐 小田切 繁樹 鈴木 周雄 綿貫 祐司 高橋 健一 吉池 保博 山本 俊幸 鈴木 幹三 下方 薫 川端 原 長谷川 好規 齋藤 英彦 酒井 秀造 西脇 敬祐 山本 雅史 小笠原 智彦 岩田 全充 斉藤 博 三木 文雄 成田 亘啓 三笠 桂一 二木 芳人 河端 聡 松島 敏春 副島 林造 澤江 義郎 高木 宏治 大泉 耕太郎 木下 正治 光武 良幸 川原 正士 竹田 圭介 永正 毅 宇都宮 嘉明 秋山 盛登司 真崎 宏則 渡辺 浩 那須 勝 橋本 敦郎 後藤 純 河野 宏 松倉 茂 平谷 一人 松本 亮 斎藤 厚 健山 正男 新里 敬 伊志嶺 朝彦 上地 博之 比嘉 太 仲本 敦 我謝 道弘 中島 光好
雑誌
日本化学療法学会雜誌 = Japanese journal of chemotherapy (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.45, no.11, pp.901-922, 1997-11-25
参考文献数
20
被引用文献数
19
著者
門田 淳一
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.148-149, 2005

大分大学医学部附属病院は604床を有する病院で,大分医科大学附属病院として昭和53年に開設され,平成15年10月に大分大学と合併統合され現在の名称となりました.昨年までは,大分大学医学部第2内科の呼吸器グループと第3内科の呼吸器グループがそれぞれ単独で呼吸器内科の診療を担当しておりましたが,平成17年1月より臓器別診療体制に移行したことに伴って統合再編され,旧内科第2那須勝教授を診療科長,旧内科第2門田淳一助教授と旧内科第3宮崎英士助教授を副診療科長として新たに附属病院呼吸器内科として発足しました.現在の学内の呼吸器内科医数は18名であり,上述の教授,助教授2名に加えて,助手7名,医員5名,研修医3名よりなります。現在の呼吸器内科の病床数は25床が定数ですが,常に30名を越す患者さんが入院しています.診療は肺感染症,肺癌,気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患,間質性肺炎等すべての呼吸器疾患を網羅しています.外来診療は,毎日の新患外来と再来外来を担当し,水曜日午後には咳,喘息外来を開設しています.
著者
小林 宏行 河合 伸 押谷 浩 酒寄 享 小池 隆夫 大西 勝憲 斎藤 玲 中山 一朗 富沢 磨須美 大道 光秀 平賀 洋明 渡辺 彰 貫和 敏博 青木 信樹 関根 理 鈴木 康稔 荒川 正昭 和田 光一 岡 慎一 稲松 孝思 増田 義重 島田 馨 柴 孝也 吉田 雅樹 佐藤 哲夫 林 泉 宍戸 春美 赤川 志のぶ 永井 英明 渡辺 尚 馬場 基男 松本 文夫 桜井 磐 嶋田 甚五郎 堀 誠治 小田切 繁樹 鈴木 周雄 高橋 健一 平居 義裕 石丸 百合子 山本 俊幸 鈴木 幹三 山本 俊信 下方 薫 齋藤 英彦 成田 亘啓 三笠 桂一 三木 文雄 二木 芳人 副島 林造 澤江 義郎 仁保 喜之 大泉 耕太郎 市川 洋一郎 徳永 尚登 原 耕平 河野 茂 門田 淳一 朝野 和典 平潟 洋一 前崎 繁文 伊藤 直美 松本 慶蔵 永武 毅 宇都宮 嘉明 力富 直人 那須 勝 山崎 透 斎藤 厚 普久原 浩 広瀬 崇興 佐藤 嘉一 熊本 悦明 河村 信夫 岡田 敬司 稲土 博右 守殿 貞夫 荒川 創一 宮崎 茂典 大森 弘之 公文 裕巳 小野 憲昭 渡辺 豊彦 村田 匡 熊澤 淨一 松本 哲朗 尾形 信雄 高橋 康一 天野 拓哉 中村 元信 山本 松男 清水 武昭 岩井 重富 国松 正彦 大塚 一秀 中川 良英 渡辺 哲弥 松山 秀樹 杉山 勇治 中山 一誠 品川 長夫 真下 啓二 真辺 忠夫 木下 博明 森本 健 久保 正二 藤本 幹夫 上田 隆美 岩佐 隆太郎 横山 隆 児玉 節 津村 裕昭 松田 静治 保田 仁介 山元 貴雄 岡田 弘二 遠藤 重厚 山田 裕彦 高桑 徹也 斎藤 和好 相川 直樹 田熊 清継 藤井 千穂 福田 充宏
雑誌
日本化学療法学会雜誌 = Japanese journal of chemotherapy (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.45, no.10, pp.846-871, 1997-10-25
被引用文献数
7