- 著者
-
塩見 真由美
今井 賢治
咲田 雅一
- 出版者
- 公益社団法人 全日本鍼灸学会
- 雑誌
- 全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
- 巻号頁・発行日
- vol.53, no.1, pp.71-80, 2003-02-01 (Released:2011-03-18)
- 参考文献数
- 26
- 被引用文献数
-
2
1
嘔気を主症状とするmotion sicknessを人為的に引き起こし、内関 (PC6) への鍼刺激がその症状の程度と出現率を改善させるかどうかを検討した。健常人36名を対象とし、無作為に対照群 (nd2) と置鍼群 (n=12) 、鍼通電群 (n=12) の3群に分類し、optokinetic drumを用いてmotion sicknessを誘発した。motion sicknessの評価には、自覚症状に関するスコアー (SSMS) とvisual analogue scale を用いるとともに、客観的な指標として胃電図をドラムの回転前・回転中・回転後各15分、計45分間にわたり記録した。また、置鍼群、鍼通電群ではdrum回転中に内関穴に鍼刺激を行った。置鍼群では、motion sickness に伴う胃電図の異常波形の出現が抑制され、他群に比べ早期に正常波形へと回復した。また、嘔気の出現率とその程度についても、置鍼群では対照群に比して低い傾向を認めた。内関穴に対する置鍼刺激は、胃電図の異常波形の出現を抑制し、嘔気などを中心とするmotion sickness 症状の緩和に有効であることが示された。