著者
中瀬 雄三 塩野 竜太
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.70, pp.250_1, 2019

<p> 近年、日本バスケットボール協会が体罰や暴言を抑止するための施策が施行されたことや、Bリーグのクラブライセンス交付規則に「ユースチームなどの育成環境の構築」が掲げられ、育成年代の指導環境を改善しようとする動きが顕著である。しかし、指導現場における問題は看過できない。例えば、育成年代カテゴリーでの短期的成果としての勝利をあげるべく、専門競技の特定の戦術や技術のみを教え込むことで、動きの鋳型化や早期のバーンアウトにつながってしまうという問題(早期専門化)である。</p><p> プロバスケットボールクラブであるアルバルク東京のユースチームでは、上記のような問題を克服するため、ゲームを中心とした練習内容と潜在的学習を促す指導を実践している。そこで、本研究の目的は、上記指導環境におけるユース選手の競技力がいかに変容したかを発生運動学的視点から事例的に考察し、バスケットボールの育成年代を対象とした指導法に関する知見を導き出すことである。研究方法は、同チームのコーチである筆者による指導観察記録と、複数のアカデミーコーチや選手へのインタビュー記録を元に、現象学的方法である本質観取に基づき考察を実施する。</p>