著者
境 昭二 高田 穣 中川 良二 川田 芳雄
出版者
一般社団法人 日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料学雑誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.26-30, 1985-02-05 (Released:2017-06-28)

1)オキサミドは,pH10以上のアルカリ域で加水分解され,オキサミン酸を経てシュウ酸を生成する.酸性域ではpH1以下でなければ加水分解されない.2)オキサミド分解菌富化土壌の水抽出によって調製したオキサミド分解活性を有する溶液(以下,オキサミド活性溶液と略す)は,フッ化アンモニウムによる滅菌処理,あるいはメンブレンフィルターによる除菌処理によってその活性を失う.3)1)および2)から,土壌中におけるオキサミドの分解は,微生物作用によるものと考えられる.4)^<14>Cで標識したオキサミドをオキサミド活性溶液中で分解させると,オキサミド態炭素はすべて二酸化炭素として回収される.また,分解途中にオキサミン酸とシュウ酸が一時的に検出され,ギ酸は検出されない.5)オキサミド活性溶液中でシュウ酸はオキサミドより分解が速いが,オキサミン酸はオキサミドとあまり変わらない.したがって,オキサミン酸およびシュウ酸の集積がわずかにしか認められないのは,オキサミン酸とシュウ酸が少なくともオキサミドよりも遅くない分解速度を示すためであると考えられる.6)4)および5)から,オキサミン酸およびシュウ酸を通らないオキサミドの分解経路の存否については不明であるが,大部分は次の反応式のように,まず加水分解によって脱アミド化され,順次オキサミン酸とシュウ酸を生成し,シュウ酸はさらに酸化されて二酸化炭素になる経路をたどるものと考えられる.[chemical formula]