著者
守田 啓輔 彦坂 正道 米竹 孝一郎 増子 徹
出版者
The Society of Polymer Science, Japan
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.54-59, 1995

ポリ [ビス (3, 4-ジメチルフェノキシ) ホスファゼン] の相転移に伴う球晶形態の変化およびその結晶形について, 偏光顕微鏡観察, 脱偏光強度測定, DSC, X線回折により検討した. メソモルフィック相 (δ相) から室温まで徐冷結晶化を行うと, マルテーゼ・クロスを有する小型のA型球晶と, より大型のB型球晶が混在して現れた. 昇温過程では, 96℃付近でA型球晶の輝度が減少し, 110℃でB型球晶は消失した. この変化はDSCの吸熱ピーク温度と一致した. 高温X線回折実験によると, 室温から90℃までは単純格子に帰属される結晶 (α型) が存在するが, 100℃以上ではα型結晶が存在せず, すべて底心格子を持つ結晶 (β型) になると推定した. 一方, δ相より徐冷し75℃で等温結晶化を行った場合, A型球晶は現れず, B型球晶だけが確認され, その結晶形はβ型であった. β型結晶はα型結晶に比べ熱的に安定であり, その発現はB型球晶の形成に関連がある.