著者
増山 伸夫 高田 勗 一杉 正治 相澤 好治 高橋 英尚 前田 厚志 橋本 起一郎 中村 賢
出版者
北里大学
雑誌
北里医学 (ISSN:03855449)
巻号頁・発行日
vol.13, no.6, pp.406-416, 1983-12-31

交替制勤務の身体影響に関する報告は,現在までに多数なされてきたが,長期にわたって経過を追ったものはほとんどない。そこで,本研究では,長期間の交替制勤務の影響を観察するために,6年間隔で,交替制と常日勤の同一作業者に実施された健康診断の結果を検討した。喫煙率は,6年の経過中,常日勤務作業者群,交替制勤務作業者群の両群とも低下傾向を示したが,初年度,6年目とも,交替制勤務作業者群の喫煙率が高かった。飲酒状況では,両群間に有意の差はなかったが,6年の経過中,両群とも飲酒率の増加傾向を示した。自覚症状に関しては,動悸,息切れなどの循環器症状,食欲不振,嘔気,胸やけ,胃のもたれなどの胃腸症状,頭痛,頭重感,めまい,耳鳴り,視力低下,肩こりなどの神経系症状,倦怠感,易疲労感などの全身症状を訴える者が,初年度は交替制勤務作業者群に多い傾向があったが,6年の経過中に,交替制勤務作業者群に有訴率の低下があり,両群間に明らかな差はなくなった。血圧,尿検査,末梢血液検査,肝機能検査の臨床検査では,両群間に明らかな差はなく,経年変化も明らかではなかった。