著者
井上 誠章 桑原 久実 南部 亮元 石丸 聡 橋本 研吾 桑本 淳二 増渕 隆仁 金岩 稔
出版者
一般社団法人 水産海洋学会
雑誌
水産海洋研究 (ISSN:09161562)
巻号頁・発行日
vol.84, no.3, pp.187-199, 2020-08-25 (Released:2022-03-17)
参考文献数
43

魚礁効果に関する多くの研究は漁業に依存しない調査データによるものであり,商業漁業によって得られた漁業依存データを用いた研究は少ない.漁獲量および漁獲量を努力量で除して計算されたCPUE(Catch per unit effort)は魚礁効果のほか,操業海域や漁船能力,資源の年および季節変動の影響を受ける.そのためCPUEをそのまま用いた解析からは資源密度にあたえる魚礁効果を偏りなく評価できない.本研究ではメダイ,ヒラマサおよびイサキについて,上記の問題を避けるためCPUE標準化の手法を応用して効果範囲を定量評価した.メダイ資源密度は,魚礁海域では天然海域の約7.0倍であり,効果範囲は魚礁中心から約350 mと推定された.ヒラマサの効果範囲は約100 m,イサキでは魚礁の近接海域に限定されると推定された.
著者
片平 浩孝 山本 敦也 増渕 隆仁 今津 雄一郎 山口 泰代 渡邊 典浩 金岩 稔
出版者
水産増殖談話会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.191-195, 2019

<p>アユ冷水病の蔓延を防ぐためには遊漁者の協力が不可欠であるが,現場でどの程度理解を得られているのか未だ把握されていない。そこで本稿では,三重県内のアユ釣り大会開催に際し集積されてきた意識調査を報告する。2015年から2018年にかけて集められた総回答数598件(回答者343名)のうち,冷水病への対策を講じているとの回答は393件(65.7%),対策なしとの回答が135件(22.6%)であった。調査期間内で追跡できた回答者のうち,22名で対策を講じる意識改善が見られたが,反対に20名が対策をやめるか不明となる変化も見られた。これらの結果は,冷水病への当事者意識は未だ十分ではなく,さらなる普及啓発が必要であることを示唆している。</p>