17 0 0 0 OA 4.細胞表面形質

著者
増田 亜希子
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.100, no.7, pp.1807-1816, 2011 (Released:2013-04-10)
参考文献数
12

フローサイトメトリー(FCM)を用いた細胞表面抗原検査は,白血病やリンパ腫の診断に欠かせない検査の一つである.急性白血病初発時の診断・病型分類に必須であるだけでなく,寛解導入療法後は微小残存病変(MRD)の評価にも有用である.悪性リンパ腫の場合,FCMと病理組織所見を併用することで,より正確な診断が可能となる.FCMは胸・腹水等の体腔液にも応用できる.FCMを活用するには,代表的な抗原の種類,結果解釈のポイントを理解する必要がある.
著者
増田 亜希子 伊東 孝通 和田 麻衣子 日高 らん 古江 増隆
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.78, no.4, pp.353-355, 2016-08-01 (Released:2016-12-15)
参考文献数
8

27 歳,女性。小児期よりアトピー性皮膚炎に罹患していた。初診の 6 年前より夫の精液付着部位に蕁麻疹と瘙痒を認めた。その後,避妊具なしで性交した際に全身に蕁麻疹を認め,呼吸困難も出現した。同様のエピソードが過去 2 回あった。避妊具を使用した性交渉では同様の症状を生じたことはなかった。近医を受診し,精漿アレルギーの疑いで当科を紹介され受診した。10 倍から1000 倍に希釈した夫の精漿を用いたプリックテストでは,検査した全ての濃度で紅斑と膨疹が出現した。本疾患は精漿中に存在する前立腺由来の糖蛋白に対するⅠ型アレルギー反応であると考えられている。精漿アレルギーの患者の半数以上にアトピー性皮膚炎の既往があると報告されており,皮膚バリア機能の障害による経皮感作が発症に重要な役割を担っていることが推察される。本疾患は皮膚科領域での報告は比較的稀であるが,アトピー性皮膚炎関連アレルギー疾患の一つとして位置づけることができると考え報告した。
著者
増田 亜希子
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.771-775, 2013-09-01

はじめに 形質細胞はBリンパ球がさらに分化した細胞であり,免疫グロブリン〔IgG(immunoglobulin G),IgA(immunoglobulin A),IgD(immunoglobulin D),IgE(immunoglobulin E)〕を産生する.形質細胞が単クローン性に増殖したのが形質細胞腫瘍であり,多発性骨髄腫(multiple myeloma,MM),意義不明の単クローン性γグロブリン血症(monoclonal gammopathy of undetermined significance,MGUS),原発性アミロイドーシス〔AL(amyloid light chain)アミロイドーシス〕などが含まれる(表1)1,2). 免疫グロブリン遊離L鎖κ/λ比(free light chain κ/λ ratio,rFLC)はネフェロメトリー法によって血清中の遊離κ鎖およびλ鎖を測定し,κ/λ比を算出する検査であり,2011年9月に保険収載された.MMなどの形質細胞腫瘍の場合,遊離κ鎖もしくはλ鎖のどちらか一方が増加するため,κ/λ鎖比が大きく変化する.一方,感染症や自己免疫疾患などの場合,κ/λ鎖比はほとんど変化せず基準値内に収まる.rFLC測定は,従来から用いられている免疫固定法(immunofixation electrophoresis,IFE)に比べて高感度のM蛋白検出法であり,形質細胞腫瘍の診断,予後予測,治療効果判定などに用いられる.特に,非分泌型骨髄腫(non-secretory myeloma)や軽鎖型骨髄腫〔Bence Jones蛋白(Bence Jones protein,BJP)型骨髄腫〕の診断に有用である. 本稿では,遊離軽鎖(free light chain,FLC)検査の測定原理や臨床的意義について概説する.
著者
増田 亜希子 伊東 孝通 和田 麻衣子 日高 らん 古江 増隆
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.78, no.4, pp.353-355, 2016

<p>27 歳,女性。小児期よりアトピー性皮膚炎に罹患していた。初診の 6 年前より夫の精液付着部位に蕁麻疹と瘙痒を認めた。その後,避妊具なしで性交した際に全身に蕁麻疹を認め,呼吸困難も出現した。同様のエピソードが過去 2 回あった。避妊具を使用した性交渉では同様の症状を生じたことはなかった。近医を受診し,精漿アレルギーの疑いで当科を紹介され受診した。10 倍から1000 倍に希釈した夫の精漿を用いたプリックテストでは,検査した全ての濃度で紅斑と膨疹が出現した。本疾患は精漿中に存在する前立腺由来の糖蛋白に対するⅠ型アレルギー反応であると考えられている。精漿アレルギーの患者の半数以上にアトピー性皮膚炎の既往があると報告されており,皮膚バリア機能の障害による経皮感作が発症に重要な役割を担っていることが推察される。本疾患は皮膚科領域での報告は比較的稀であるが,アトピー性皮膚炎関連アレルギー疾患の一つとして位置づけることができると考え報告した。</p>
著者
増田 亜希子
出版者
医学書院
雑誌
検査と技術 (ISSN:03012611)
巻号頁・発行日
vol.43, no.10, pp.1010-1011, 2015-09-15

T細胞性大顆粒リンパ球性白血病(T-cell large granular lymphocytic leukemia:T-LGLL)は,WHO分類第4版では,明らかな原因のない6カ月以上持続する末梢血顆粒リンパ球増殖症と定義されている.顆粒リンパ球は,細胞質にアズール好性顆粒を3個以上有する大型リンパ球で,大きさは15μm程度であることが多い.T-LGLLの診断基準にリンパ球数の規定はない1,2).リンパ腫の0.06%とまれであり5),性差はなく,成人に多く発症する. 臨床症状では,貧血や好中球減少を認めることが多い.高率に赤芽球癆を合併する.浸潤部位は末梢血,骨髄,肝臓・脾臓が多く,リンパ節はまれとされている.治療としては,シクロスポリンなどの免疫抑制剤が用いられる.