著者
長坂 俊成 増田 和順
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.8-11, 2018

<p>近年、スマートフォンの普及に伴いラジオ放送のWeb化が進みつつある。しかしながら、そこで流される著作音源の管理はレガシーなモデルを継承し、アーティストやクリエータをインキュベーションしプロモーションするプラットフォームへの転換を阻害している。さらにWeb 環境が個人やコミュニティの環境を構成する時代の中で、音声文化をコミュニティの中でシェアし二次加工するなど、より自由に享受する利用環境が未整備のままである。コミュニティFMラジオ放送もサイマル放送によりWeb化に対応しているものの、Webメディアとしてのローカリティとグローバリティを活かしきれず、また、地域の参加型市民メディアとしての役割も果たせずに圏域放送を矮小化したビジネスモデルの域を出ないか、または、過度に自治体に依存する傾向にある。そこで、本発表では、既存の放送メディアに依拠しない新たなWebラジオによる文化資産の利用とアーカイブを通じた社会デザインとソーシャルイノベーションの可能性について展望する。</p>